イートインスペースとは?設置するメリットやコツ、必要な届出などを解説
ケーキ屋やパン屋など、テイクアウトのみでも営業できるお店を開業する際、イートインスペースを設置した方がよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。イートインスペースを設置した場合にどんなメリット・デメリットがあるのか、必要な届出なども把握して決めることが大切です。
この記事では、イートインスペースの概要と設置するメリットやデメリットに加え、必要な手続きや資格、注意点などについてわかりやすく解説しています。
イートインスペースを活用できるコンセプト例もご紹介していますので、新規開業やリニューアルなどを検討する際の参考としてお役立てください。
目次
イートインスペースとは
そもそもイートインスペースとはどのようなエリアなのか。イートインスペースの設置によって得られるメリットとデメリットなどについて見ていきましょう。
店内で飲食できるスペースのこと
イートインスペースとは、店内で飲食できるスペースのことで「イートインコーナー」と呼ばれることもあります。
パン屋やケーキ店など、テイクアウトがメインの飲食店のほか、コンビニエンスストアやいわゆるデパ地下などでも見かけることの多い店内スペースです。
コロナ禍で外食を控え、持ち帰りや自宅での飲食が増えたのに比例して、テイクアウト専門の店舗が台頭した時期がありました。その後、外食頻度の回復に合わせてイートインスペースの設置を検討するテイクアウト店が広がりを見せています。
イートインスペースを設置することで、店舗にはどのようなメリットとデメリットが考えられるのでしょうか。
イートインスペースを設置するメリット
メリットとしては、お客様に出来立ての商品をすぐに食べていただける点が挙げられるでしょう。生クリームのデコレーションなどテイクアウトでは崩れやすいものや、焼きたてパンケーキなど温かいうちに食べた方がおいしい商品も、イートインスペース限定にしたり、イートインスペースでの飲食を推奨したりすることで、メニューに加えやすくなります。
イートインスペースにお客様が留まっている様子から、お店が繁盛していることをアピールできる点もメリットとなります。「あのお店では座って食べられる」と周辺で働く方々へ周知されることで、ランチタイムや短い休憩時の利用スペースとしてリピーターを獲得しやすくなる点もメリットとなるでしょう。店頭にA型看板などを置いて「イートインスペースあります」とアピールしたり、イートインスペースで楽しめるメニューを書き込んだりするのもおすすめです。
パンやケーキの焼き上がり予定の時間を貼りだす、注文を受けてから作るメニューなど、提供までに時間がかかるものもイートインスペースで飲食しながら待つことができる、といった点もメリットとして挙げられそうです。
イートインスペースを設置するデメリット
設置によるメリットの多いイートインスペースですが、いくつかのデメリットもあります。まず、テイクアウトと店内飲食では、会計時の税率が異なる点に注意が必要です。2024年5月現在、テイクアウト時の税率は8%、店内飲食時の税率は10%となっているため、レジ精算や伝票、オーダー時などに管理できるような体制に整えなければなりません。
また、イートインスペースを設置する業種や販売形態によっては、別途飲食店の営業許可が必要になるケースもあります。飲食店の営業許可の申請や取得には、管轄の保健所が定める要件をクリアする必要があるため、保健所へ事前相談することをおすすめします。
このほか、動線がお客様の利用しやすい配置になっているか、といった配慮も必要となるでしょう。
これから物件を取得しようとする場合、テイクアウトメインで使用する物件に比べて、イートインスペースを設置する予定の物件の方が一定の広さを必要とすることとなります。立地や建物の古さなどが同じ条件の場合、広い物件ほど家賃は高くなる傾向にあるため、その分の予算についても考慮する必要があります。
イートインスペースの設置に必要な届出
イートインスペースの設置に必要な届出の例として、パン屋を開業する場合を見てみましょう。イートインスペースを設置しない場合、パン屋の開業には菓子製造の営業許可申請をして、許可証の交付を受けるのみで開業が可能です。しかし、パン屋にイートインスペースを設置する場合は、飲食店の営業許可申請も行う必要があります(2024年5月時点)。
イートインスペース付きの店舗を開業する際に必要な手続きや資格について、以下で更に詳しく見ていきましょう。
イートインスペースのある店舗の開業に必要な手続き
イートインスペースのあるパン屋を開業する場合に必要となる手続きや資格について解説します。
営業許可申請の手続き
イートインスペースのあるパン屋の開業には「菓子製造業」と「飲食店」の2つの営業許可申請が必要です。
イートインスペースがなくても、提供するメニューに調理パンが含まれる場合は、飲食店の営業許可が必要となるケースがあります(2024年5月時点)。
営業許可申請の細かな要件は地域ごとの保健所によって異なる場合があり、法改正によって最新の状況が変わるケースもあるため、開業を検討する際には、店舗を管轄する保健所へ問い合わせるなどして、必ず最新の状況を確認するよかうにしましょう。
開業に必要な資格
菓子製造と飲食店のいずれの営業許可申請を行う場合でも、食品衛生責任者の資格が必須となり、イートインスペースを設置してもしなくても食品衛生責任者の資格が必要です。
食品衛生責任者は、各都道府県にある衛生協会や保健所の食品衛生課が開催している講習を受講すれば取得できるため、難易度としては難しくありません。しかし、開業時に講習を受講しようとしても開催日程が合わなかったり、満席で申し込みできなかったりする場合もあるため、早めに取得しておくようにしましょう。
なお、栄養士や調理師、医師や獣医師などの免許を保有している場合、食品衛生責任者講習の受講は免除されますが、届け出時に必要となります。
届出の際に注意するべきポイント
菓子製造と飲食店の両方を申請する場合、許可が出る要件についてそれぞれの基準を満たす必要があります。
2021年6月の法改正により、菓子製造の営業許可を持っているパン屋が、飲み物を添えてパンを提供する場合には、飲食店の営業許可は不要となっています。
このほかにも、1つの許可業種で扱える食品の範囲が拡大しているなど、細かな点や基準が変わっている場合があり、現在開業している知人などへ確認しても情報が古くなっているケースがあるため注意が必要です。
営業許可に関する最新のルールや細かな基準については、必ず管轄の保健所へ確認と相談をするようにしましょう。
イートインスペースを活用できるコンセプト例
イートインスペースを設置するなら、上手に活用して売上向上に繋げたいところです。イートインスペースを設けたパン屋、ケーキ屋などにおすすめのコンセプト例をご紹介します。
出来立てがおいしいメニューの提供
テイクアウト専門でパンや焼き菓子などを提供する場合、冷めてもおいしいメニューや温め方の説明を同封するなど、メニューの提供に工夫や制約が出るケースがあります。
イートインスペースを設置すれば、焼きたてがもっともおいしく食べられるメニューも積極的に販売することが可能です。
揚げたてサクサクのカレーパンや、熱々のバターが乗った焼きたてトースト、沸々としたチーズが食欲を誘うピザなどがおすすめです。
温かいメニューだけでなく、アイスクリームを挟んだパンやラスクをトッピングしたパフェなどの冷たいメニューも、イートインスペースを活用できるメニューとしておすすめです。盛り付けにこだわったり、イートインスペースにフォトスポットを設けたりするアイデアもよいでしょう。
ドリンクにもこだわってみる
イートインスペースでランチや食事を取るお客様向けに、ドリンクの販売に力をいれるのもおすすめです。
生絞りのフルーツジュースやこだわりのコーヒーなど、フードメニューに負けない主力のドリンクメニューがあれば、客単価の向上にも繋げやすいでしょう。
このほか、イートインでの飲食が終わった後の片付けをセルフで行えるよう、回収用のテーブルやゴミ箱を設置することで、手間や人件費のコストを抑えやすくなるでしょう。
イートインスペース設置のメリットを活かしたサービスの提供を
イートインスペースとは、店内で飲食ができるスペースのこと。レストランやカフェ、喫茶店においてはあるのが当たり前のスペースですが、パン屋やケーキ店、コーヒースタンドなどテイクアウトメインのお店でも、イートインスペースを設置することで売上や客単価の向上に繋がるケースも多いものです。
イートインスペースの設置には、業種によって2つ以上の営業許可証を取得する必要があるほか、物件の広さやメニュー開発、テーブル席のレイアウトといった配慮も必要となります。イートインスペース設置のメリットを活かして、よりよいサービスの提供を目指しましょう。
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