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喫茶店やカフェの喫煙スペースはどうすればいい?考え方や対策を解説

開業方法・準備運営ノウハウ

喫茶店やカフェで喫煙スペースを設置するべきかどうかは、経営者にとって選択が難しい問題でもあります。喫煙者と非喫煙者のどちらに配慮すれば集客への影響が少ないのか、喫煙スペースを設置することのメリットやデメリットについても知っておきたいところです。

この記事では、喫煙スペース設置のメリットとデメリットに加え、設置する際の注意点などについてわかりやすく解説しています。喫煙スペース設置を決める際の考え方についてもご紹介していますので、多様化する嗜好に対応するための対策について知りたい際のヒントとなれば幸いです。

喫茶店やカフェにおける喫煙スペースの考え方

経営する喫茶店やカフェで喫煙スペースをどうするか、決定するための考え方について解説します。

まずはコンセプトを決めておく

カフェや喫茶店を開業するにあたって喫煙スペースをどうするかは、どのようなゲストをターゲットにするか、お店のコンセプトによって決まるといえます。

例えば、健康志向で無農薬、有機栽培などの食材を使ったヘルシーなメニューを好むような層をメインターゲットとする場合、店内に喫茶スペースを設置しないメリットが大きい可能性があります。逆に、オフィス街で仕事の合間にタバコとコーヒーを楽しみたいなど、喫煙者をメインターゲットとするなら、喫煙スペースは設けたほうがよいといえるでしょう。

リピーターの獲得にはカテゴライズも大切

カフェや喫茶店を開業して間もない頃は、新規の来店がメインとなります。初めての来店者の中には喫煙スペースが「あると困る」と感じる方もいれば「ないと困る」という方もいます。喫煙スペースを設けずに店内を完全禁煙とすれば、喫煙者の来店は期待できなくなります。しかし、その代わりに喫煙を嫌う非喫煙者のリピーターが増える可能性は高まるでしょう。もしカフェや飲食店のコンセプトで非喫煙者をターゲットとするのであれば、喫煙派が選びにくい店舗にする勇気も必要です。

喫煙者をターゲットとする場合には、店内を喫煙しやすい空間にすることで喫煙者のリピーターが獲得しやすくなり、禁煙者は来店しにくくなります。

周辺のリサーチやメニュー、提供速度なども考慮しながら、自分のお店を禁煙か分煙かにカテゴライズしていくことで、コンセプトにフィットするゲストやリピーターを集客しやすくなるでしょう。

禁煙?分煙?喫煙における喫茶店やカフェの種類

喫煙における喫茶店やカフェの種類は、近年以下のように分類することができます。

喫煙スペースを設けない「禁煙化」

店内に喫煙スペースを設けず、禁煙化しているカフェや喫茶店です。完全禁煙のカフェはシアトル系カフェなどに多く、やや高めの価格設定で、ゆったりと落ち着いてコーヒーが楽しめる空間づくりをしているのが一般的です。喫煙を嫌い、健康志向でスペシャルティコーヒーや有機野菜、フェアトレード商品などに興味のある層や、SNS映えするトレンド感のあるメニューを好む層がメインのターゲットとなります。

喫煙スペースを設ける「分煙化」

喫煙スペースを設置して、禁煙派と喫煙派の両方に配慮しているカフェや喫茶店です。駅前やオフィス街など、往来が多く短時間でさまざまな人が利用する機会の多い店舗、滞在時間が短いため低価格でスピーディな商品の提供を望み、移動中の喫煙場所としても利用したい層などがターゲットとなります。

喫煙を目的とする「喫煙喫茶」

趣味嗜好の多様化に伴い、近年では全席喫煙可能な「喫煙喫茶」というコンセプトの店舗を見かけることもあります。

喫煙喫茶では、コーヒーと共にゆったりとタバコを楽しむための場所となっており「電子タバコ限定」や「シーシャ」と呼ばれる水タバコを楽しむカフェなど、喫煙をメインにフォーカスしている点が特徴です。

ただし、シーシャカフェや深夜のバー営業などを検討するには、飲食店の営業許可とは別に別途許認可が必要となるため注意が必要です。

喫茶スペース設置のメリット・デメリット

喫茶スペース設置のメリットとデメリットについても解説します。

喫煙スペース設置のメリット

喫煙スペースを設置するメリットとしては、喫煙者を集客しやすい点にあります。喫煙できるスペースは年々減少傾向にあるため、喫煙できる店舗は口コミなどで伝わりやすいでしょう。喫煙スペースの少ないエリアであれば、リピーターも獲得しやすくなります。分煙化対策をしっかりとしていれば、家族連れや非喫煙者の来店にも対応することができるでしょう。

喫煙スペース設置のデメリット

喫煙スペースを設置するデメリットとしては、煙や吸い殻によって店内が汚れやすくなる点が挙げられます。喫煙スペースの設置は条例によって年々取り締まりが厳しくなっており、条例に沿って内装や施行にも細かい配慮が必要となるため、手間と時間がかかる点もデメリットといえるでしょう。せっかく手間をかけて分煙しても禁煙派には敬遠されやすくなるため、コンセプトによってはターゲットにリーチしにくくなる可能性もあります。

上記のようなメリットとデメリットがあることを考慮した上で、コンセプトを好むターゲットを想定しつつ、喫煙スペース設置の可否を決めることをおすすめします。

喫煙スペース設置の際の注意点

喫煙スペースの設置をする際には、以下のような点にも注意しましょう。

喫茶店やカフェの喫煙スペースに関する法律・条令を確認する

喫茶店やカフェに喫煙スペースを設置する際には、以下の法律と条令の確認が重要となります(2023年12月時点)。

<改正健康増進法>

健康増進法とは2002年に公布された法律で、国民の健康増進を推進するためにつくられました。健康増進法では、健康診査の実施などのほか、受動喫煙についても規定されています。特に2018年に公布された改正健康増進法では、受動喫煙に関する部分について「望まない受動喫煙をなくす」「受動喫煙の影響が大きい子どもや患者へ特に配慮する」「施設ごとに受動喫煙への対策を実施する」といった基本的な考え方が盛り込まれました。

改正健康増進法では、施設の類型や場所ごとに禁煙措置や喫煙場所の特定などの措置を取るよう改正されています。

改正健康増進法は2020年4月より前面施行されており、屋内は原則禁煙となるほか、喫煙スペースについても細かな規定を守る必要があるのです。

<受動喫煙防止条例>

受動喫煙防止条例では、上記の改正健康増進法を受け、喫煙スペースの設置について都道府県ごとに一定の基準などを設けています。基準を満たしていないと喫煙スペースの設置ができないようになっているため、喫煙スペース設置の際には、店舗を管轄する地域の保健所へ事前に確認することが重要となります。

条例による規定の詳細は都道府県によっても異なる可能性がありますが、東京都の場合には、以下の要件に該当する飲食店は喫煙スペースの設置が可能とされています。

  • 1.2020年4月以前から営業している
  • 2.客席面積が100m2以下である
  • 3.資本金、出資金の合計が5,000万円以下の法人または個人が経営している

喫煙スペースの設置が可能な要件に該当していても、喫煙スペースの設置基準をクリアしていなければ違反行為となってしまいます。条例に違反した場合、50万円以下の罰則対象となるため注意が必要です。

換気設備、店内の区分けが必要

喫煙スペース以外の場所へ煙が移動することのないよう、喫煙スペースは壁や二重扉などでしっかりと区分けし、換気設備も設置する必要があります。

例えば、改正健康増進法の基準では、出入口における空気の気流は0.2毎秒以上であることと定められています。喫煙スペースとそうでない場所がはっきりと見分けられるように、壁やスペースの色分けなどを行うといった対策が必要となる場合もあるでしょう。

このほかにも、クリアするべき基準がないか、管轄の保健所へ事前に確認するようにしましょう。

看板による掲示を行う

喫煙スペースを設置したら、そこが喫煙エリアであるとわかりやすいように看板を掲示する必要があります。ユニバーサルデザインや多言語表記などを用いて、多くの利用者にわかりやすいよう配慮された看板を掲示するようにしましょう。

周辺環境へ配慮する

喫煙スペースの換気設備を整えるだけでなく、周辺にタバコの匂いが漏れていないか、屋外の店舗周辺で喫煙する人がいないか、吸い殻が増えていないかなど、周辺環境への配慮も重要です。

施設管理者だけでなく、喫煙者も条例に違反すれば30万円以下の罰金対象となる恐れがあります。従業員や利用者への周知や、決められた場所での喫煙を促すよう見回りを強化する、といった体制づくりが必要となるケースもあるでしょう。

安全対策も忘れずに

受動喫煙対策だけでなく、喫煙スペースでは火事のリスクも高まります。周辺環境への配慮と併せて、火気に対する安全対策も忘れないようにしましょう。お店の規模によっては、消防署への届出が必要となる場合もあります。防火に関する安全対策で不安な点がある場合は、店舗を管轄する消防署へ問い合わせてみるのもよいでしょう。

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喫茶店やカフェの喫煙スペースは事前にコンセプトを決めて検討しよう

喫茶店やカフェの喫煙スペースは、改正健康増進法や各種条例への対策により禁煙や分煙化が進む一方で、近年多様化する趣味嗜好に対応した喫煙喫茶もあり、飲食店での喫煙に対する考え方が重要となってきています。店舗のコンセプトやターゲットを明確にした上で、喫煙スペース設置について検討していきましょう。

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