カフェ開業資金の借り入れとは?借り入れや融資で資金を調達する方法
カフェを開業しようとしたとき、資金の問題に直面する方は多いのではないでしょうか。いくら理想的なカフェのイメージを思い描いていても、資金がなければ現実化することができません。また、ある程度、資金を貯めていても、足りない場合もあるでしょう。
資金を調達する方法の一つに、銀行からの借り入れがあります。
しかしいざ借り入れをしようとしても、条件や方法が分からないこともあるかもしれません。
そこで本記事では、借り入れとはどのようなものか、条件や手続き方法などを解説します。
目次
借り入れとは
借り入れとは何か、カフェ開業の借り入れにはどのような方法があるのかを見ていきましょう。
◆開業時が借り入れのタイミング
一般的に、借り入れとは金融機関からお金を借りることを意味します。カフェ開業のための借り入れというと、開業資金を金融機関から融資してもらうことです。
借り入れは必ずしなければならないものではありません。開業時など資金が不足しているときに検討するものです。
しかし、金融機関から融資を受けるなら開業時がそのタイミングであり、実際にオープンするときにどれくらい運転資金を確保しているかは、カフェをスムーズに運営していくポイントにもなります。ちなみに推奨されているのは運転資金を6か月分確保しておくことです。
カフェは、開業してから売上を伸ばしていくのにある程度の時間がかかる商売です。軌道に乗るまでの運転資金確保のために、オープン時の資金残高が大切になります。
開業時は、最も借り入れがしやすいタイミングです。なぜなら、まだ示す実績がないため、熱意や将来性を重視し審査してもらえるからです。そのため、融資を受ける場合は、良い条件となる開業時を検討しましょう。
◆借り入れの手段
続いて、金融機関から融資を受ける手段を確認していきましょう。カフェの開業資金は、主に保証協会を通して自治体による制度融資を受けるか、日本政策金融公庫の融資を受けるかの2通りからの選択になります。
・制度融資
制度融資は地方自治体、信用保証協会、金融機関が連携して行っている融資制度です。中小企業や小規模事業者を対象としており、保証協会が信用保証をしてくれたり自治体が信用保証料を補助してくれたりすることで、融資が受けやすくなります。
国が起業を推進しているがゆえの制度であり、審査の基準や金利が民間の金融機関より低くなっているのが特徴です。
ただし、金融機関、信用保証協会、自治体と関わる組織が多いため、融資までに時間がかかります。目安として、相談してから融資されるまで3か月くらいと考えておきましょう。
なお、自治体によって申し込み方法や審査基準などが異なるため、カフェを開業するエリアの自治体に事前の確認が必要です。
・日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が100%の株式を保有している金融機関です。創業時に利用できるいくつかの融資制度があり、中でも「新創業融資制度」は原則、無担保無保証人で融資を受けられます。
提示できる実績がないカフェ開業時に、民間金融機関の審査通過は難しいのが現実です。日本政策金融公庫は開業を支援する金融機関であり、金利が民間金融機関よりも安いというメリットがあります。
また、融資金額が大きく、上限は3,000万円(内、運転資金1,500万円)です。融資スピードが速い点もメリットであり、申請から融資が決まるまでかかる期間の平均は3週間程度となっています。
融資を受けられる条件
制度融資を受けるためには、信用保証協会と金融機関両方の審査をパスする必要があります。また、各自治体によって限度額や金利などの条件も異なるため、利用を検討する場合には事前に確認するようにしましょう。
日本政策金融公庫の新創業融資制度は、創業資金総額の10分の1以上を自己資金でまかなうことが条件です。また、創業計画書を提出することになります。この創業計画書は実現可能で説得力のあるものでなければなりません。
ここからは、日本政策金融公庫の融資を受けるための自己資金の作り方や、審査に通るための創業計画書作成のポイントについて確認していきましょう。
◆自己資金
日本政策金融公庫の融資を受けるためには資金総額の10分の1以上の自己資金を貯めておくことが条件とはいえ、審査にはその金額よりも「貯め方」のほうを重視する傾向があります。
例えば、身内から創業資金の大部分を借りたことが分かった場合、マイナスポイントとなってしまうこともあるでしょう。
通帳の貯蓄履歴がチェックされ、自身でコツコツと貯めた過程が分かる場合は、開業に向けた熱意が伝わります。また、その金額が大きいほど、開業への気持ちの強さをアピールできるでしょう。そのため、貯金の過程が分かる形で自己資金を提示できることが重要です。
さらに、用意した自己資金は開業のために使うという説明も求められます。
◆創業計画書作成のポイント
審査に通るような創業計画書の作成ポイントを確認しておきましょう。
・動機
カフェ開業の動機は「なぜカフェを開業したいと思ったのか」「カフェを開業する目的」など、お店のコンセプトを明瞭かつ熱意が伝わるように記述しましょう。
また、狙うターゲット層、立地を選んだ理由、想像される課題、その解決策なども簡潔に記載することが大切です。
・経験
「経営者の略歴」を記入する欄には、単に職歴を記載するだけではなく、経験や能力についてもアピールできるようにします。
同業種での勤務経験は実績として重視されます。その職場において、自身の働きで売上を伸ばしたり業界でコネクションがあるため仕入れルートを確保していたりといったポイントは、伝わりやすいように説明しましょう。
例えば、「売上を3倍に伸ばした」というような数字を使う工夫など、できる限り具体的に表現することが大切です。
また、同業種ではなくても、経営者の経験はプラスポイントになります。経営者としてカフェ運営をしていけるアピールになるため、業種名や経営者としての実績なども具体的に記載するようにしましょう。
・事業の見通し
「創業当初」と「軌道に乗った後」それぞれの売上、原価、経費、利益を記入するようになっています。
数字は漠然としたものを書くのではなく、根拠ある計算をしなくてはなりません。
まず、家賃は売上高の10%以内が理想的といわれています。例えば家賃10万円の物件で営業するなら、月の売上高は100万円以上必要になるということです。
月の売上予測は、次の計算式で算出します。
客単価×席数×満席率×回転率×営業日数=月の売上
一般的に1坪当たりの席数は1.2~1.5人です。満席率とは、満席時に何名の来客数があるのかで算出できます。満席とはいっても、実際にすべての客席が埋まっているとは限りません。例えば、4人がけのテーブル席を3名で使うこともあるからです。
満席率を算出する計算式は以下の通りです。
満席率=来客数÷席数×100
例えば全部で20席あるカフェにおける満席時の来客数が15名の場合、満席率は75%になります。
また、回転率とは、1日に何回お客様が入れ替わったかということです。回転率を算出する計算式は以下の通りです。
回転率=1日の来客数÷全席数
例えば、1日に20名の来客数があり、席数が全10席の場合、回転率は2(回転)になります。
以上のことを考慮しながら、目指すべき売上予測を算出して記載しましょう。
他に「売上原価(仕入高)」と「人件費」も記載する必要があります。飲食店の原価率は売上の30%程度が理想ですが、カフェの場合はもっと低く20~25%を目指すべきとされています。メニューそれぞれについてではなく、メニュー全体での原価率で考えましょう。
人件費の計算については、従業員数も記載するようにします。人件費の目安として、売上の25%以内と考えて計算すると良いでしょう。
借り入れ手続き方法とは
日本政策金融公庫で借り入れを行いたい場合の手続き方法を確認しましょう。
◆申し込み・書類
日本政策金融公庫では無料の事業資金相談を行っています。ホームページから最寄りの支店を確認し、予約を取ってから相談してみましょう。
どのようなカフェを開業したいのか詳しく伝えることで、より役立つアドバイスが得られるはずです。
相談の際に、借り入れ申請に必要な書類を渡されます。提出が必要な書類は主に次の通りです。
・借入申込書
・創業計画書
・内装工事・設備の見積書
・賃貸物件の契約書
記入に最も手こずるのは創業計画書だと想定できます。日本政策金融公庫のホームページから記入例を見ることもできるので、参考にしながら作成しましょう。
◆面談
書類を提出して1週間ほどで、担当者から連絡があります。なお、書類選考のみで落ちてしまうことはありません。面談を行うことになるため、日程調整を行います。
面談の際には、さらに詳細な資料を提出することになりますが、必要になるのは主に次の資料です。
・預金通帳
・ローンを組んでいる場合は借入明細表
・身分証明書
・最近の収入が確認できる源泉徴収票など
面談で聞かれる可能性が高いのは「創業動機」「自己資金をどのように貯めたか」「売上の見込み」「競合の中で勝てる強み」などについてです。
また、審査基準の傾向として「経営者としての素質」「実現可能な計画」などが挙げられます。
面談時間の目安としては、30分~1時間程度です。その後、およそ2週間で審査結果の連絡があります。
◆契約
審査に通ったら、契約に進みます。契約書にサインをしたり、押印をしたりといった事務的な手続きとなります。
契約を交わしたら、あとは入金待ちです。
融資の申し込みをしてから結果が出るまでの目安は3週間程度です。条件によって時間がかかることもあるため、管轄の支店に確認するようにしましょう。
流れを把握しスムーズな資金調達を
カフェ開業の資金が不足している際、借り入れを検討する必要があります。カフェ開業のための借り入れとは、金融機関から融資を受けることです。
カフェの開業資金の主な借り入れ方法は2つ、保証協会を通して自治体による制度融資を受けるか、日本政策金融公庫の融資を受けるかです。制度融資は各自治体によって決まりが異なるため、開業するエリアの自治体に問い合わせてみましょう。
国が全株式を保有する日本政策金融公庫は、金利が安く、開業時に利用できる融資制度を用意しています。他の金融機関よりハードルが低いとはいえ、説得力のある創業計画書を作成し熱意を伝えることが重要です。
融資までの流れと必要事項を把握し、スムーズに資金調達を行いカフェ開業を目指しましょう。
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