テラス席のあるカフェのメリットは？必要な届出や設置条件などを解説

カフェにテラス席を設置した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。テラス席を設ける際に必要な届出や設置の条件も把握しておきたいところです。

この記事では、テラス席のあるカフェのメリットや必要な届出に加え、テラス席を設ける際のポイントなどについてわかりやすく解説しています。カフェ開業を検討中の方や、テラス席のメリットについて知りたい方は参考としてお役立てください。

テラス席とは

そもそもテラス席とはどのような場所なのか、定義や由来について解説します。

店舗内に設置した屋外座席のこと

テラス席とは、カフェなどの店舗内に設けた屋外座席をさします。パリやミラノなど、ヨーロッパの街にあるカフェでよく見られるスタイルです。日本でも、テラス席のあるカフェは近年増えています。

テラス席はカフェだけでなく、ビアガーデンやフード系フェス、各種イベントなどでも見かけることが多いです。バーやショップ併設のカフェなどで、テーブル席やイートスペースをテラスに設置しているスタイルのお店もあります。

テラス席の由来

テラス席ができた由来には、ヨーロッパの狩りの文化が起源となっているといわれています。ヨーロッパの人々が狩りをした際、獲った獲物をその場でバーベキューにして食べていたことから、屋外に飲食できる座席を設ける文化が浸透したという説があるようです。

カフェにテラス席を置くメリット

カフェにテラス席を置くメリットには、以下のような点が挙げられるでしょう。

開放感のあるイメージになる

カフェにテラス席を設ける大きなメリットの1つとして、開放感のある空間が演出できる点が挙げられます。

テラス席では季節ごとの木々や風の変化など、街並みにある自然の移り変わりに気づきやすく、そうした開放感のある気分を楽しみにしている顧客も少なくありません。テラス席には、屋外での飲食を楽しみたいと考える一定のニーズがあるのです。

集客効果が狙える

テラス席を設けたことにより、テラス席を利用するお客様や提供される料理が、店舗の近くを歩く人々にも見えることとなります。テラス席が埋まっていることによって賑やかに見えるため、人気があるお店のようにイメージしてもらえるメリットがあるのです。

また、提供されるメニューなども見えるためPR度が高く、看板やポスターを設置する以上の集客効果が期待できる可能性があります。外から見えるテラス席は待ち合わせにも選ばれやすいため、利用頻度が高まったり、リピーターが増えたりするケースもあるでしょう。

テラス席ならではのサービスが提供できる

屋外にテラス席を設置することにより、テラス席ならではのサービスが提供できる点もメリットといえます。例えば、屋内には入れないペットもテラス席なら同伴OKにできる場合や、グループでのバーベキューコースの提供をするケース、コロナなどの感染症対策が挙げられるでしょう。

テラス席ならではのサービスが提供できれば、それだけで周辺の競合店との差別化が図りやすくなります。

このように、さまざまなメリットが考えられるテラス席ですが、カフェに設置しようとした場合、どのような条件が必要になるのでしょうか。

テラス席のあるカフェを開業する際に必要な届出や条件は？

テラス席のあるカフェを開業する際に必要な届出や条件について解説します。

テラス席を設置できる条件

テラス席を設けることのできる条件として、東京都では以下が挙げられています。

・レストランまたはカフェなどの飲食店営業であること

レストランまたはカフェ営業であっても、テイクアウト専門店やキッチンカーなどの移動販売、一時的な臨時営業の店舗などはテラス席の設置ができないことになっています。

・店舗に隣接していること

テラス席は、原則として店舗に隣接している必要があります。広い敷地内であっても、歩行者のための歩行スペースを確保する必要があり、交通量が多い場所では「3.5m以上の歩行空間」の確保、その他の場所では「2m以上の歩行空間」の確保が必要とさだめられています。例外として、道路占用に関する許可が得られれば、離れた場所でもテラス席の設置が可能となります。

・調理設備や厨房など、食品を取り扱う設備を屋外に設置しないこと

衛生的な観点から、テラス席には調理設備や厨房などを置いてはいけないとさだめられています。ガス台やコーヒーマシーン、フリードリンクやビュッフェコーナーなどは屋外に設置せず、屋内のさだめられた場所に設置する必要があります。

・テラス席を明確に区画して、衛生的に管理できること

テラス席の部分は、パーテーションやポールなどを使用して明確に区画する必要があります。定期的に清掃も実施して、衛生的に管理することもさだめられています。

・店舗内の座席数や面積を超えないこと

周辺環境への影響を最小限にする目的や、災害時の避難ルートの確保などのため、店舗内の座席数や面積を超えてテラス席を設置してはいけないことになっています。

などが挙げられます。都道府県によっても微妙にルールが異なる場合があるため、詳細については店舗を管轄する保健所へ確認してみましょう。

テラス席のあるカフェを開業する際に必要な届出

テラス席のあるカフェを開業するには、通常の飲食店営業許可の届出以外に別途届出が必要となる場合があります。

東京都の場合を例に挙げると、テラス席のあるカフェを開業する際の大まかな流れは以下のようになります。

• 1.物件の平面図などを持って管轄の保健所へ事前相談に行く
• 2.テラス席の設置が可能であると判断されたら「屋外客席用の営業設備の大要」を記入して提出する
• 3.公有地（地方公共団体の有する土地）を使用する際は「屋外客席設置届」も提出する

詳細は都道府県によって異なる場合があるため、事前相談で確認するようにしましょう。また、テラス席設置の有無に関わらず、カフェやレストランを開業する場合は飲食店の営業許可が必要となります。

飲食店の営業許可も、店舗を管轄する保健所へ相談して申請する流れを取るため、飲食店の営業許可に関する相談の際に、テラス席についても確認して進めるとスムーズです。なお、飲食店の営業許可申請には「食品衛生責任者」の資格が必要となります。食品衛生責任者の資格は、都道府県の食品衛生協会が実施している講習を修了すれば取得が可能です。管理栄養士などの資格があれば、講習の受講は免除されます。

このほか、収容人数が30名を超える店舗では防火管理者の資格も必要です。防火管理者の資格は都道府県の日本防火・防災協会が実施する講習を修了すれば取得できます。消防職員としての一定の勤務経験など、防火に関する知識があるとみなされる場合には、講習の受講は免除されます。

テラス席のあるカフェを開業する際のポイント

テラス席のあるカフェを開業する際のポイントについて見ていきましょう。

最新情報をこまめにチェックする

テラス席を設置する際は、都道府県の情報などをこまめにチェックしておくようにしましょう。例えば、東京都では過去に2023年5月31日まで、コロナ禍によるテラス席の設置緩和措置を取っていました。緩和された一定基準を満たしていれば、道路占用によるテラス営業が認められていたのです。また、緩和措置に伴い、自治体へ支払う占有料の一部助成も行われていました。

今後も、状況によっては規制緩和や助成制度などが利用できるようになる可能性もあるため、店舗を管轄する自治体の情報はこまめにチェックしておくことが大切です。

テラス席を設置する際の注意点

テラス席は屋外に設置するため、雨や風などの影響を受けやすいデメリットがあります。こまめに清掃を行い、床にはすべりにくい材質を使うか、マットを使用するなどして対策を取っておくようにしましょう。

真夏や冬など、屋内との外気温の差が激しくなる時期や、梅雨など雨の多い時期には、気候や天候に応じた対策も必要です。具体的には、夏であればアスファルトの照り返しや日光を避けるためのシェーディング、冬はブランケットの貸出やビニールシートで囲うといった対策が有効です。透明ビニールの活用は雨風への対策や虫よけ、車道からの排気ガスよけなどにも活用できますが、テラス席ならではの自然の景観が損なわれないよう配慮する必要があるでしょう。

近隣の住民や隣接する店舗への配慮も忘れないことが大切です。BGMのボリュームは適切か、定期的な清掃ができているか、景観を損ねない飾りつけになっているかなどはチェックしておきたいところです。テーブルと椅子も、テラス席に置いたものは長く使用されていないとホコリやダメージが屋内よりも進みやすくなってしまいます。使わない座席は屋内へ移動させる、こまめに清掃し、割れやダメージがないかこまめに確認するようにしましょう。

屋外にあるテラス席は、屋内席よりも注意するべきポイントは多いものの、得られるメリットも大きいものです。チェックリストを作成するなどして毎日の業務として慣れてしまえば、営業しやすくなるでしょう。テラスで楽しみたい季節限定メニューを開発するなどして、テラス席のあるカフェならではのサービスを提供してみるのもおすすめです。

カフェにテラス席を設置して開放感のある空間を提供しよう

テラス席のあるカフェはヨーロッパでよく見かけるスタイルですが、テラス席に一定のニーズがある点や集客効果があることから、日本でもテラス営業をしているカフェが増えてきました。

テラス席の設置については、都道府県で細かくルールが決められているため、開業時に管轄の保健所へ確認することが大切です。テラス席のあるカフェを開業して、開放感のある空間を提供してみてはいかがでしょうか。

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