監修 | キーコーヒー コーヒー教室 シニアインストラクター |
金井 育子(かない いくこ) |
コーヒー豆を購入するときや喫茶店で頻繁に見かける「深煎り・中煎り・浅煎り」という言葉。この3つの違いをご存知でしょうか?「味や香りがなんとなく違う気がするけど...はっきりとは分からない」という方へ、意外と知らない「煎り」の違いについて、実際に深煎りコーヒーを焙煎して解説いたします。
2018.11.14
監修 | キーコーヒー コーヒー教室 シニアインストラクター |
金井 育子(かない いくこ) |
コーヒー豆を購入するときや喫茶店で頻繁に見かける「深煎り・中煎り・浅煎り」という言葉。この3つの違いをご存知でしょうか?「味や香りがなんとなく違う気がするけど...はっきりとは分からない」という方へ、意外と知らない「煎り」の違いについて、実際に深煎りコーヒーを焙煎して解説いたします。
コーヒーは「生豆」の状態で生産国から日本に輸入されます。焙煎(煎り)は、国内で行われる工程で、コーヒー味を大きく左右し、大別すると「深煎り・中煎り・浅煎り」の3つの度合いに分けられます。
同じ原料を同じ焙煎方法で煎った場合、より焙煎時間の短いものを「浅煎り」。程よい焙煎時間のものを「中煎り」。時間をかけて焙煎したものを「深煎り」と言います。焙煎の度合いが変わることで、味や香りはもちろんのこと、コーヒー豆自体の見た目にも変化が出ます。
具体的に「深煎り・中煎り・浅煎り」それぞれにどのような違いがあるのか、一つずつ詳しくご紹介いたします。「深煎り・中煎り・浅煎り」の3つの中で、焙煎度合いが深い「深煎り」。空気中にもコーヒーの特徴的な香ばしい香りが漂います。
深煎りコーヒーの最大の特徴は苦み。もともと苦みが少ないコーヒー豆であっても深煎りにすることで、ビターな味わいが広がります。また、苦みが特徴のコーヒー豆であればさらに苦みが増し、とてもしっかりとした味わいになります。
酸味については、ほとんど感じることはありませんが、酸味が魅力のコーヒー豆であれば、深煎りにすることですっきりとした味わいに変化。酸味が苦手な方は、深煎りコーヒーであれば飲みやすく感じるでしょう。深煎り豆の見た目は濃い茶褐色から黒褐色で、ツヤツヤした印象です。
3つの段階の中でコーヒー豆の色が一番色濃く発色します。また、コーヒー豆の特性上、焙煎が深くなるとよく膨らみ、それにともなって豆に空洞部分が多くなってきます。その空洞からコーヒー豆が本来持っている香りが立ち、油分が滲み出てきます。 また煎り上がりのコーヒー豆は2割程度軽くなります。 例えば200gの生豆を「中煎り」に焙煎すると、煎り上がりは約160g。深煎りの場合は、もう少し軽くなりますが、豆の嵩(面積)は増えます。コーヒー用メジャースプーンですり切り1杯を量ると、中煎りは10gですが、深煎りは9~8gほどとなります。また浅煎りと比較するとわずかですが、カフェインの含有量が少なくなります。日本人に好まれている味わいの「中煎り」。実は、広く一般的に飲まれている焙煎度合いが中煎りです。
市販のレギュラーコーヒーやホットコーヒーとして提供されているものであれば、中煎りであることが多いです。中煎りコーヒーの特徴は豆本来の味わいを感じやすいことにあります。苦みや酸味、香りについても個々の豆の本質が分かりやすいコーヒーです。
深煎り豆に比べ、色が明るく、固さがあるのが中煎り豆です。深煎り豆ほど表面に油分は出てきませんが、若干しっとりとした印象があります。
深煎りコーヒーと比べて焙煎が難しいとされる「浅煎り」。サードウェーブコーヒーがコーヒー業界での新流暢として中心を集めるようになってから、人気を集めはじめている注目の焙煎度合いです。
浅煎りコーヒーの味わいのメインは酸味です。コーヒー豆は焙煎をすることではじめに酸味が形成され、深度が深くなるほど苦みが強くなり、酸味を感じにくくなります。浅煎りコーヒーは酸味をより感じられる焙煎度合いです。
コーヒーの苦みを感じずに爽やかでフルーティーな味を楽しみたいのであれば、浅煎りコーヒーがぴったりです。白っぽい緑色の生豆に比べると、こんがりきつね色の印象がある浅煎り豆。しかし、他2つの焙煎度合いに比べ、色素は薄く、香辛料のシナモンの印象です。表面も質感はマットです。
浅煎り豆は味の酸味が引き立つことが特徴です。焙煎時間が深煎り豆よりも短いため、豆の中の水分が蒸発しきっていないです。蒸発が進んでいないことにより、豆は重く、深煎りよりも固い感触です。この焙煎の度合いにより「深煎り・中煎り・浅煎り」などの仕上がりが生まれます。同じコーヒー豆であっても、焙煎度合いにより味わいは大きく変わるので、コーヒーの味を決めるとても大切な工程です。
実はコーヒーの焙煎度合いは細分化すると「深煎り・中煎り・浅煎り」の3つにはとどまりません。さらに8つの焙煎度合いに分けられます。
一口に深煎りコーヒーといっても、焙煎方法が違えば焙煎時間や温度が大幅に変わります。 また、豆の種類が異なったり、同じコーヒー豆でも時期や季節が変わったりすると、細かく焙煎度合いを調整する必要があります。
今回は、半熱風式という焙煎方法で深煎りコーヒーを焙煎したので、その手順を簡単にご紹介します。住所 | 〒105-0003 東京都港区西新橋2-34-3号先 |
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営業 時間 | 11:30~20:00 ※金曜、土曜 焙煎機シェア、注文焙煎、焙煎体験、抽出体験、物販 ※月曜~木曜 物販のみ |
定休日 | 日曜、祝日 |
HP 情報 | CRAFT SHARE-ROASTERY 錠前屋珈琲 ご予約・お問い合わせはこちらから |
焙煎のプロフェッショナルである「ローストマイスター」が在中する、錠前屋珈琲。ローストマイスターが個別のニーズに合わせて焙煎をしてくれる「注文焙煎」。焙煎機を時間貸しする「焙煎機シェア」。また事前予約をすることで焙煎士レクチャーの「焙煎体験」や「抽出体験」ができます。
*本記事では錠前屋珈琲協力の元、焙煎をしています。実際には事前予約が必要です。予めご了承ください。コーヒーは日々の生活中に彩りを加えてくれる、とてもすてきな嗜好品です。必ずしも「こう飲まなくてはならない」というルールはありません。お好みでアレンジを加えて、自由に楽しんでみてください。
特に今回ご紹介した「深煎り・中煎り・浅煎り」については好みが分かれやすい要素です。コーヒーの苦みがお好きな方は深煎り、コーヒーの酸味がお好きな方は浅煎りと、ご自分がお好きな味わいから試してみましょう。その後、さまざまな焙煎度合いを試すのがおすすめです。 煎り度合いを少し意識してみると、きっとコーヒーの新しい楽しみ方が見えてくるでしょう。いつもの一杯も煎り度合いにこだわってみては、いかがでしょうか。記事監修
金井 育子(かない いくこ)