コーヒーの風味や香りを決定付ける重要な工程である焙煎。焼き加減だけでなく温度の与え方1つで風味は大きく変わってしまいます。今回はそんな焙煎について基礎知識からプロの目線まで解説。また自家焙煎の方法も一緒にご紹介します。プロによる焙煎の方法、ご家庭でもできる自家焙煎の方法についてご紹介いたします。
2019.04.26
コーヒーの風味や香りを決定付ける重要な工程である焙煎。焼き加減だけでなく温度の与え方1つで風味は大きく変わってしまいます。今回はそんな焙煎について基礎知識からプロの目線まで解説。また自家焙煎の方法も一緒にご紹介します。プロによる焙煎の方法、ご家庭でもできる自家焙煎の方法についてご紹介いたします。
焙煎(ロースト)とはコーヒーの原料である「生豆」にカロリー(熱と圧力)を加えていく工程を指します。 焙煎前の豆を「生豆」といいます。生豆は白く薄緑をしていて、このままでは飲用できません。焙煎を行うことで生豆に化学変化がおき、コーヒー豆独特の苦味や酸味が引き出されます。また焙煎時間やカロリーの加え方によって焙煎の深さ(焙煎深度)が決まります。加えて熱と圧力の加え方が変われば、完成したコーヒー豆の風味も変化します。同じ味を再現することが非常に難しいのも焙煎という工程の大きな特徴です。
焙煎深度は、「浅煎り、中煎り、深煎り、極深煎り」の大きく4つに分類されています。さらに細かく8段階に分けられています。焙煎深度が浅ければ酸味が強く、深ければ苦味が強くなるのが特徴です。深く焙煎するには時間がかかります。浅煎りの場合は焙煎時間を短く仕上げることができます。しかし少ない時間でカロリーを豆全体に通さなければならないため、焙煎の難易度は高くなってしまいます。
最も浅い焙煎深度。生豆の緑がまだうっすらと残っている印象も。カロリーをかけすぎないため、苦味が抑えられ、コーヒー豆本来の風味を感じられる焙煎深度といえます。均一に熱を通すことが難しく生焼けしてしまうことも。
香辛料のシナモンのようなキツネ色が特徴的な焙煎深度。豆の果実由来である柑橘系の風味特徴です。
いわゆるアメリカンな味わいに分類されることが多い焙煎深度。中煎りに分類はされますが、豆の種類によっては浅煎りのような酸味が感じられることも。
深煎り手前の焙煎深度。飲用されることが多く、一般的な深度といえるでしょう。
エスプレッソでもよく使われる焙煎深度です。焙煎工程の1つであるセカンドクラック(2ハゼ)が始まる頃にはこの焙煎深度にさしかかっています。
シティロースト同様にエスプレッソで使用されることが多い深度です。
いわゆる極深煎りという焙煎深度にも区別されます。アレンジコーヒーやアイスコーヒーでの使用に向いている焙煎深度です。
最も深い焙煎深度であるイタリアンコーヒー。フレンチローストと同じくアイスコーヒーによく使われます。焙煎の際には焦がしてしまわないよう特に注意する必要があります。
冷却するために「うちわ」か「ドライヤー」を用意しましょう。扇風機を使用するのはシルバースキンが舞うのでおすすめしません。
焙煎に慣れてきたらアルミホイルで手網を覆うことにも挑戦してみましょう。焙煎時間を短縮することができ、浅煎りの場合でも上手に焙煎できます。しかし目視で焙煎度合いを確認できなくなってしまうため、初心者の方にはおすすめできません。 ので適しています。焙煎に使用する生豆は柔らかく、粒がそろっているものがおすすめです。生豆は堅く、もともと火が通りにくい農産物。そのため、初めての焙煎には火が通りやすいものを選定することがおすすめ。まずは柔らかい生豆や粒のそろった生豆を使ってみましょう。
こうした観点からいうとブラジル産は比較的に豆が柔らかく、焙煎に適しており初心者にはおすすめです。またコロンビア産のものは粒がそろっており、均一に火が通るので適しています。初心者の場合は割れてしまっている豆や欠けた豆といった「異形豆」を中心に取り除いていきましょう。
もし、より本格的なハンドピックに挑戦したい場合は黒豆や虫食い豆、貝殻豆も探してみましょう。手網の種類によっても焙煎には大きな変化が現れます。ここでは手網の種類ごとの特徴を紹介します。「趣向を変えてみたい」という方はぜひ手綱の種類を変えて焙煎してみてください。
一般的に角がある手網は均一に焙煎することが難しくなります。コーヒーの生豆が手網の中で転がりづらく、うまく撹拌できなくなってしまうためです。一方で丸みのある手網は中で生豆が良く転がるため、均一に熱が通ります。つまり丸みのあるもののほうが比較的焙煎しやすい手網という事ができます。
焙煎を完成させた後もまだ注意することがあります。手間をかけて焙煎したコーヒー豆。せっかくなら美味しくいただきたいですよね。次に焙煎した豆の取り扱いについて解説していきます。
焙煎後は煙の香りや豆の中のガスが残っているため味が落ち着くまでには時間がかかります。すぐに飲用しても美味しく召し上がることはできますが、焙煎をした豆は4~5日置いてから飲むのが一般的です。豆から粉にした場合にはもう少し早くガスが抜けるので、2~3日で味が落ち着きます。
焙煎後寝かしておく、または余ったコーヒー豆を保存する場合、どのように保存したらいいか悩むところ。一般的に焙煎したコーヒー豆を保存する場合には、温度・湿度・日光の少ない場所がおすすめです。一般家庭の場合は冷凍庫や野菜室が特に適しているでしょう。真空状態で保存できるタッパーや保存袋を併用することで、さらに良質な状態で保存可能です。
家庭でも行える焙煎法、手綱式を紹介してきました。しかしコーヒーの焙煎には多くの種類が存在します。普段飲むコーヒーがどのように焙煎されているかを知ることで、よりコーヒーを飲むのが楽しくなるはず。ここではさまざまな焙煎を解説していきます。
【焙煎機を使った焙煎工程は詳しくはこちら】 深煎り・中煎り・浅煎りの違いとは?コーヒーの味わいやおすすめの飲み方
ここまでコーヒー焙煎とそのコツについてご紹介してきました。しかしあくまでそれはコーヒー豆を一定品質に仕上げる方法にすぎません。焙煎の魅力は何といっても自分好みに豆をカスタマイズできること。色々な方法で様々な焙煎に挑戦し美味しいと感じたならば、それは成功なのです。今回の記事を参考に、ぜひオンリーワンのコーヒーを探求してみてください。
記事監修
林 稔 (はやし みのる)