コーヒー豆の味や香りは、豆の種類や原産地によっても異なります。その日の気分でコーヒーを選ぶのもよいですが、コーヒーについての知識を深めることで、コーヒータイムをより充実させることができるでしょう。
今回は、1杯のコーヒーができるまでの過程を中心に、コーヒー豆の種類や産地ごとの特徴などについて分かりやすくご紹介します。
Contents
1杯のコーヒーができるまで
コーヒー豆が私たちのもとへ届くまでには、長い年月と手間暇がかけられています。
ここでは一般的な水洗式コーヒーを例に挙げて、1杯のコーヒーができるまでの過程について、順を追って見ていきましょう。
栽培(種をまいてからコーヒーの実が熟すまで)
コーヒー豆とは、アカネ科の常緑樹である「コーヒーノキ(コーヒーの木)」から収穫される「コーヒーチェリー(果実)」の種子部分を指します。コーヒーノキは野生で最大10mもの樹高に成長しますが、栽培・収穫を目的とした農園では1.5m~2mに剪定して管理するのが一般的です。
また、コーヒー豆を収穫できるようになるまでは発芽から2~3年の歳月を必要とします。
コーヒーチェリーの外果皮や果肉部分を取り除くとコーヒーの生豆を収穫でき、生豆には平豆(フラット・ビーン)や丸豆(ピーベリー)などが入っています。
コーヒーの栽培について、種まきから収穫直前までは次のような流れとなります。
1.種まき~発芽
コーヒーの種をまき、数週間から1~2ヶ月ほどで芽が出ます。
2.植え替え
20~30cmくらいの高さに育ったら植え替えをします。
3.成木
種まきから約3年で成木(大人の木)になります。
4.開花
成木になった木には真っ白なコーヒーの花が咲きます。
開花時には農園中がジャスミンの花に似た香りに包まれます。
5.結実
緑色のコーヒーの実がなります。
6.完熟
緑色の実は開花後約8ヶ月で緑色から真っ赤に熟します。
形や色がサクランボに似ているため「コーヒーチェリー」と呼ばれています。
コーヒーノキは種まきから1ヵ月前後で発芽し、植え替えを経て成木へと成長します。
収穫(実の収穫から水洗いまで)
コーヒーチェリーを収穫する流れについて見ていきましょう。
開花・結実後に完熟したコーヒーチェリーは機械や人の手で収穫され、脱肉をして「パーチメントコーヒー」となります。
7.収穫
完熟した実(コーヒーチェリー)だけを一粒一粒ていねいに手摘みします。
8.脱肉、発酵
摘み終わったコーヒーチェリーの果肉をアクアパルパーという機械で取るとともに、種だけの状態になった「パーチメントコーヒー」の表面にある粘液質を除去しています。
9.水洗
アクアパルパーで除去した粘液質を完全に無くすためきれいに洗います。粘液質が残ったままで次の乾燥工程に進むと、粘液質 が発酵してしまい欠点豆の原因となるためです。
乾燥~選別
乾燥の工程では、パーチメントコーヒーに残った水分を天日やマシンで乾燥させます。乾燥後は脱殻した生豆(グリーンビーンズ)を、大きさ、形、比重などの条件からグレード分けを行います。乾燥~選別までの流れは以下の通りです。
10.乾燥
パーチメントコーヒーの含有水分が10%程度になるまで、天日やドライヤーで乾燥させます。
11.脱殻
殻を被ったパーチメントコーヒーを脱殻機にかけて殻を取り除きます。
脱殻したものがコーヒーの生豆(グリーンビーンズ)になります。
12.機械選別
生豆を選別機にかけて不良豆の除去をした後に、大きさや形、比重などでグレード(等級)分けをします。
13.手選別
機械選別された生豆は、熟練した作業員による手選別でさらに良い生豆だけを選びます。
日本へ
農園からトラックで港へ運ばれ、コンテナ船で日本へ輸出するまでの流れは以下のようになります。
14.農園でのカップテスト
選別された生豆はカップテストなどを行い、産地ごとの基準に合致しているかの判定を行います。
15.農園から港へ
カップテストで合格した生豆はグレード別に麻袋に詰められ、港へと移送されます。
16.船積み~日本へ出発
麻袋に詰められた生豆は、船積み用にコンテナへ入れられて輸出されます。南米やアフリカ、アジアなど、コーヒーの産地から日本への海を渡る旅への出発です。
日本到着
日本の港へ到着後、港の倉庫から工場へ搬入されるまでの工程です。
日本に到着したコーヒーの生豆は、通関時、倉庫保管時などあらゆる地点でカップテストと呼ばれる味覚検査が行われます。検査を通ったものは工場で再度選別されます。
キーコーヒーでは、コーヒーの生豆が到着した際は以下の流れで品質チェックを行っています。
1.アライバルサンプル・カップテスト
日本に輸入された生豆は通関後、港の倉庫に入れられ、ここでサンプルを採取してカップテストを行います。ここで合格した 生豆だけが次のステップへ進めます。
2.指定の倉庫へ保管・カップテスト
キーコーヒーでは、港の倉庫からキーコーヒー指定の倉庫へ生豆を運んで保管します。
この際、サンプルを採取してコーヒー工場で更にカップテストを行い、合格したものだけが工場で使用される事になります。
3.工場への生豆搬入・カップテスト
キーコーヒーの工場には毎朝トラックで生豆が運ばれてきます。搬入された生豆は再度カップテストが行われ、合否を判定してから使用しています。
なお、生豆搬入の入口には、オーバースライダーを設置して外部からの防塵・防虫対策を行っています。
製造工程
キーコーヒーの工場での製造工程は「生豆の選別から豆の粉砕まで」と「充填・包装から出荷まで」の2つに大きく分けることができます。
それぞれの製造工程の流れは以下のようになります。
<製造工程その1:生豆の選別から豆の粉砕まで>
4.生豆選別(Part1)
生豆の入った麻袋は麻袋解袋機(バッグオープナー)によって開封され、選別機へ送られます。
まず、風力選別機によって生豆より軽い異物を除去してから、粗選機という口径の異なる2層のメッシュの網の上を通過させて生豆よりも大きい異物(石、鉄片等)と小さい異物を除去します。
開封した麻袋は建築資材や車両のクッション材などにリサイクルしています。
5.生豆選別(Part2)
次に磁石を使った磁選機で、金属を除去し、比重選別機で生豆よりも比重の大きい異物(主に石)を除去します。
キーコーヒーでは、更に、選別が終了した生豆に一次、二次と金属探知機を通過させ最終確認を行っています。
6.サイロへの収納
選別された生豆は、産地、グレード、用途など生産スケジュールに沿って生豆を貯蔵するサイロに分類収納します。
7.焙煎
産地やグレードによって分類されている生豆を、それぞれの特性に合わせて焙煎します。焙煎後は味や香りを劣化させないよう摩擦熱を抑えて粉砕し、専用コンテナで保管します。
キーコーヒーの焙煎は、商品の特性に合わせて使用する焙煎機を使い分けています。
また、永年培った焙煎のノウハウは、生豆の収穫時期による違いまでを加味して膨大なプログラム設定に活かされています。高性能コンピュータ制御によって、高度な焙煎が行われています。
キーコーヒーでは、焙煎技術を社員に伝承していくため、カップテストは勿論のこと、コンピュータを使わないマニュアル焙煎機を使った基礎技術の習得から、実機を使っての焙煎など技術の修得に努めています。
8.粉砕(粉製品の場合)
味と香りの劣化の原因となる摩擦熱の発生を抑え、微粉が少なくばらつきのない均一なカッティングを施して、専用コンテナに保管します。
<製造工程その2:充填・包装から出荷まで>
酸化を防ぎ、味や香りなどの品質を保ちながら包装します。包装方法は、真空包装、窒素置換包装、脱酸素剤入り包装から用途に適した方法が採用され、ケース梱包されたのち、全国に出荷されます。
9.充填・包装
専用コンテナに入ったコーヒー豆・粉は、コーヒーの酸化を防止して、味と香りを保つために、衛生管理のもと家庭用から業務用、その他用途向けに真空包装、窒素置換包装や脱酸素剤入り包装など多種多様な充填・包装を行っています。
10.保管・出荷
各種ケース梱包された商品は自動搬送ラインを通って物流センターの倉庫に運ばれます。ここでは、商品ごとに仕分けをし、自動立体倉庫へ一時保管されます。商品は全社をネットワークした受発注システムのもと出荷して、全国の物流センター・営業所を経てお客様へお届けしています。
もっと知りたい!コーヒー豆の種類や産地ごとの特徴
コーヒー豆の種類や産地ごとの味の特徴などをご紹介します。
コーヒーの三大原種
コーヒー豆の種類が異なると、味や風味が変わることは多くの方に知られています。しかし、コーヒーの味を決める要素は必ずしも豆の種類だけとは限りません。ここでは、コーヒーノキの種類(原種)による違いをご紹介します。
コーヒーノキには多くの種類が存在していますが、現在は「アラビカ種」「カネフォラ種」「リベリカ種」の3種類がコーヒーの三大原種と呼ばれています。なかでも商業的に栽培されるのは「アラビカ種」と「カネフォラ種」です。「リベリカ種」は主に栽培地域のみで消費されています。それぞれの特徴を以下で見ていきましょう。
▼コーヒー三大原種の特徴
原種ごとの特徴は、それぞれ以下の通りです。
[ アラビカ種 ]
原産国(東アフリカ エチオピア)
生産量(世界生産量の6~7割)
特徴:コーヒーの品質に優れている。乾燥・低温・高温多湿、病害虫に弱い
[ カネフォラ種 ]
原産国(アフリカ コンゴ)
生産量(世界生産量の3~4割)
特徴:アラビカ種に比べて病害虫に強く、高温多湿の気候にも適応し低地栽培が可能
[ リベリカ種 ]
原産国(西アフリカ リベリア)
生産量(世界生産量の1%以下 もしくは、非常に少ない)
特徴:栽培量が非常に少ない
コーヒーの原産地
コーヒーの栽培は南北回帰線(北緯、南緯が25度)に囲まれた「コーヒーベルト」と呼ばれるエリアで行われています。これは、コーヒーノキの栽培に、雨、日当り、温度、土質の4つの条件が整う必要があるためです。コーヒー豆の原産地はこうした条件が整った世界各国に位置しており、代表的な原産地としては以下が挙げられます。
[ ブルーマウンテン ]
カリブ諸国ジャマイカのブルーマウンテン地区。味のバランスが良く、優雅な香りと上品な口当りで「コーヒーの王様」と呼ばれることも。
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[ キリマンジャロ ]
東アフリカタンザニアのアラビカ種コーヒー豆。深いコクと豊かな酸味で酸味と苦みのバランスが取れている。
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[ コナ ]
ハワイ州ハワイ島コナ地区でのみ生産されている希少なコーヒー。豊かな酸味とキレのある味わいにさわやかな香りが特徴。
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[ モカ ]
エチオピア産やアラビア半島イエメン産のコーヒー。歴史が古く、フルーツや花を想像させる香りとワインを思わせる味わいが特徴。
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[ マンデリン ]
インドネシア産スマトラ島のコーヒー。スパイシーな香りと深いコク、なめらかな口当りが人気のコーヒー。
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[ グァテマラ ]
中米グァテマラ産コーヒー。華やかな酸味とコク、甘みのある後味で日本では人気のあるコーヒー豆の1つ。
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[ ブラジル ]
苦みと酸味、コクが調和したやわらかな口当たりで、ブレンドコーヒー のベースとしてもよく使われる。
[ コロンビア ]
南米コロンビア産のコーヒー。濃厚なコクとやさしい酸味、豊かな香りが特徴。
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このほかにも、ケニアやインドネシア、ベトナムなど、コーヒーの産地として知られる国や地域はさまざまです。
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お好みのコーヒーを探してみましょう
1杯のコーヒーができるまでの過程に思いを馳せたら、気になる産地のコーヒーを試してみてはいかがでしょうか。
キーコーヒーでは、特定の産地で収穫された単品のコーヒーを集めたストレートコーヒーや「幻のコーヒー」と呼ばれるトアルコ トラジャーなど、さまざまなコーヒーをご用意しています。
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コーヒーの基本のいれ方
コーヒーに関する知識が深まったら、コーヒーのおいしいいれ方もチェックしてみましょう。
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知識を深めて一杯のコーヒーを楽しもう
コーヒー豆ができる過程にはたくさんの手間がかけられており、多くの人の手や厳しいチェックを経て届けられています。
コーヒー豆は、原産地や品種による味の違いはもちろん、焙煎度合いやブレンドの比率によっても異なる味わいを楽しむことができます。この機会に、厳選されたコーヒー豆からお好みのコーヒー豆やブレンドを見つけてみてはいかがでしょうか。