「おいしいドリップコーヒーをいれてみたい」「今までよりも少しこだわっていれたい」そんな方のために、今回はペーパードリップコーヒーのいれ方を動画付きでわかりやすくご紹介します。
おいしいいれ方はもちろん、必要な器具やコツもご紹介していますので、ぜひご自宅で本格的なドリップコーヒーに挑戦してみてください。
Contents
ペーパードリップとは
ペーパードリップの起源やドリッパーの種類、さまざまなドリップ方法などについてご紹介します。
ペーパードリップの起源
ペーパードリップが発明される前の喫茶店では、ネルドリップと呼ばれる布製のフィルターを使い、まとめて大量のコーヒーをいれていました。大量に抽出したコーヒーは湯煎にかけて保温しておき、注文が入ったら温めたカップに注いで提供する、というスタイルが一般的でした。
しかし、作り置きする方法では時間の経過と共にコーヒーが劣化してしまうため、都度抽出する「1杯抽出のペーパードリップの器具」が1959年に日本の器具メーカーにより発売されました。これがペーパードリップの起源となっています。
ペーパードリップで使うドリッパーの種類
ドリッパーは大きく分けると円すい型と台形型の2種類に分かれます。ドリッパーの形によってお湯の注ぎ方に違いがあり、味わいも違ってきます。
例えば、スッキリとした味わいを楽しみたいなら円すい型のドリッパーを、しっかりと飲み応えのあるコーヒーがお好みなら台形型のドリッパーがおすすめです。それぞれ詳しくみていきましょう。
ドリッパー | 抽出にかかる時間 | 特徴 |
円すい型 | 2分30秒~3分 | スッキリとした味わい 初心者の方でも比較的安定した抽出化が可能 |
台形型 | 3分 | しっかりとした飲みごたえのある味わい お湯のコントロールが難しい |
・円すい型ドリッパー
円すい型はある程度の高さがあるので、液体の抜けが早いです。そのため、少ない湯量でも浸透しやすく、蒸らしやすいのが特徴です。1杯分だけコーヒーをいれる場合にも湯だまりができず、過剰抽出になりにくい形状です。円すい型のドリッパーでコーヒーを抽出する際は、「お湯を入れる速度を一定にする」ことに集中すればバランスの取れた味わいを出すことが可能です。
・台形型ドリッパー
台形型のドリッパーでは「ドリッパー内でお湯を対流させる」ために「中心でお湯を上下して、外側に向けてゆっくり一周する」注ぎ方をします。
流速が中心と外側で異なるため、お湯のコントロールが難しく、一定の湯量をキープしながら注げるようになるためには練習が必要です。
コーヒー液が溜まりながらサーバーに落ちていくので、味わいはしっかりとした濃度のある味わいです。円すい形のドリッパーに比べて、安定した味わいを出すのが難しいです。
ペーパードリップ以外のドリップ方法は?
ペーパードリップ以外のドリップ方法には「ネルドリップ」「サイフォン」「フレンチプレス」「クレバー」「エアロプレス」などが挙げられます。
それぞれの抽出方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
▶関連記事:『いれ方が味の差になる!? 抽出方法、いくつ知っていますか?』
このほかにもさまざまな抽出方法があります。それぞれ味わいに特徴があるので、同じコーヒーを使って器具違いで飲み比べてみるのもおすすめです。
ペーパードリップのいれ方
ペーパードリップの基本のいれ方をご紹介します。
動画で見るペーパードリップの抽出方法
ペーパードリップで用意する器具
ペーパードリップで用意する器具は以下の通りです。
用意器具リスト |
ドリッパー、サーバー |
ペーパーフィルター |
ケトル |
コーヒー粉 |
計量スプーン |
タイマー |
コーヒーカップ |
1. ペーパーフィルター
抽出する際には、ドリッパーの形状に合った専用のペーパーフィルターを準備しましょう。 今回使用したペーパーフィルターは、キーコーヒーオリジナル円すい型ドリッパー専用のペーパーフィルターです。
2. ドリッパー、サーバー
ドリッパーはコーヒーを濾すための器具です。 サーバーは、抽出したコーヒーを受けるために必要な器具で、はじめのうちは抽出量がわかりやすい目盛り付きのものをおすすめします。今回使用した2つのアイテムは、キーコーヒーオリジナルのドリッパーとサーバーです。
▷関連商品:『Noi クリスタルドリッパー』
Noi クリスタルドリッパーは、耐熱性の高い円すい形構造のドリッパーです。ドリッパーの側面がダイヤカットと呼ばれる凸凹とした形状になっており、抽出されたコーヒーがこのダイヤカットに沿ってジグザグとゆっくり流れ落ちます。そのため最適な抽出スピードがコントロールされ、どなたでも安定した抽出がしやすいという特徴があります。
▷関連商品:『KEY コーヒーサーバー 500ml(2~4人用)』
コーヒーの抽出液が撹拌しやすい丸みを帯びた形状のコーヒー サーバーです。持ちやすさを考慮しハンドル部分が大きめになっていて、カップやグラスに注ぎやすくなっています。耐熱ガラスのみで作られており、デザインも美しいサーバーです。
3. ケトル(細口のドリップポット)
お湯を注ぐためのケトルを準備します。中にはお湯(90℃~95℃)を準備します。 注ぎ口が細い器具を使用することで、狙った位置にお湯を丁寧に細く注ぐことが叶います。
4. コーヒー粉
お好みのコーヒー粉を用意します。 酸味を楽しみたい方は浅煎り、苦みを楽しみたい方は深煎り。どちらの味わいも楽しみたい方には中煎り、普通煎りが向いています。
今回使用したコーヒー粉はキーコーヒーオリジナルのブレンドコーヒーです。
▷関連商品:『KEY DOORS+ スペシャルブレンド(VP)』
酸味と苦みが絶妙に調和した深い味わいを楽しめるブレンドコーヒー です。口当りがソフトなので、どなたでも飲みやすいです。
5. 計量スプーン
コーヒー粉を計量する際に使用するスプーンです。 今回使用したものはコーヒー専用メジャースプーンですりきり10gが量れるものですが、10gが量れるものであればご家庭にあるもので代用可能です。
6. タイマー
抽出時間を計るためのタイマーです。 ドリップコーヒーは時間を計っていれることで味わいが安定します。
今回のNoi クリスタルドリッパーを使用する場合、2分30秒~3分で抽出することで理想的でバランスの取れた味わいのコーヒーになります。
7. コーヒーカップ
コーヒーカップは事前にお湯を入れて温めておくと、コーヒーを注いでからも温度が下がりにくく、よりおいしく飲むことができます。
ペーパードリップのいれ方手順
ペーパードリップのいれ方手順は以下の通りです。
ペーパードリップの手順一覧 |
Step.1 器具を温める |
Step.2 カップを温める |
Step.3 ドリッパーにペーパーフィルターをセットする |
Step.4 コーヒー粉を量り、ドリッパーに入れる |
Step.5 1回目のお湯を注ぐ |
Step.6 蒸らす |
Step.7 2回目のお湯を注ぐ |
Step.8 3~5回目のお湯を注ぐ |
Step.9 カップに注いでできあがり |
1. 器具を温める
まず、使用する器具を温めます。 おいしいコーヒーをいれるためには、抽出したコーヒー の温度変化をなるべく防ぐ工夫をすることが大切です。
器具を温める際には、サーバーの上にドリッパーを乗せ、その上からお湯を注いでください。 その後ドリッパーを外し、お湯が入ったサーバーを軽くまわし抽出する杯数の目盛りまで温まっているか確認します。
2. カップを温める
先ほど器具を温めたお湯、もしくは事前にケトルやポットに用意しておいたお湯をカップに注ぎ、温めます。
カップを温めることで、コーヒーを注いだ時の温度変化を防ぐことができ、いれたての香りや風味を楽しむことができます。
3. ドリッパーにペーパーフィルターをセットする
フィルターはドリッパーの形に合ったものを使うようにしてください。今回は円すい型ドリッパーを使用しますので、円すい型専用のペーパーフィルターを使用しています。
フィルターをセットする際のポイントとしては、フィルターのチャック部分(ミシン目の部分)を折り曲げることで、きれいにドリッパーにセットできます。ドリッパーに密着させるようにセットしてください。
4. コーヒー粉を量り、ドリッパーに入れる
計量スプーンを使い、いれたい杯数分のコーヒー粉をドリッパーに入れます。今回はすりきり1杯で10g量れるスプーンを使用しています。
多めにすくったコーヒー粉を横に振ってスプーン内の粉を平らにします。 また、コーヒー粉を入れ終わったら、お湯の通りが偏らないようにドリッパーを少し振って表面を平らにします。
なお、抽出レシピは1杯分=粉10g:出来上がり量120mlです。
今回は3人分いれるので、スプーンで3回すくい、ドリッパーに入れます。出来上がり量は3杯分 (360ml)が目安となります。
5. お湯を注ぐ(1回目)
注ぐ直前にタイマーをスタートさせます。 2分30秒~3分で行うとコーヒーの味がバランスよく抽出されると言われています。
1回目のお湯は「お湯を注ぐ」というよりも乾いたコーヒー粉に「お湯を染み込ませる」というイメージを持つことが大切です。
1回目のお湯の注ぎ方は、内側から円を描くようにコーヒー粉にお湯を染み込ませます。ポイントはお湯を少しずつ丁寧に注ぎ、染み込ませることです。
コーヒー抽出液がサーバーにポタポタと落ちてきたら、ドリッパーに注ぐお湯の量もポタポタと減らしていきます。
ドリッパーの外側に近づくにつれ、コーヒー粉の層が薄くなるので、それに合わせてお湯を注ぐ量も減らしていきましょう。イメージとしては、ケトルの先から水滴を落とすように、乾いた部分がなくなるよう外側に向かって注いでください。
この「全体にお湯を染み込ませる」という過程は、コーヒーの味わいを決める大切な部分なので、丁寧に行ってください。
湯量や時間を気にすることは、コーヒーの理想的な味わいを出すのに、最初はお湯の注ぎ方やお湯を注いだ後のコーヒー粉の様子を観察するところから始めましょう。
6. 蒸らす
1回目のお湯を注ぎ終わったら、20秒ほど蒸らしましょう。 表面にキラキラした泡が見えてきたらしっかりとお湯が浸透した印です。
だんだんと泡が消えていき、ボソボソと穴が開いてきたら蒸らす過程が充分にできたことになります。
7. お湯を注ぐ(2回目)
2回目のお湯はたっぷりと多めに注ぎます。最初にお湯を注ぐ位置を中心にしっかりと決め、ドリッパーの中心に500円玉程の大きさの円を繰り返し描くようなイメージで注いでいきます。
泡がフィルターの端まで広がったら、一旦お湯を止めます。 ドーム状に膨らんでいた泡が、だんだんとくぼんできます。この動きが止まる前に次のお湯を注ぎましょう。
おいしいドリップコーヒーをいれるコツは、お湯の動きが止まらないうちに次のお湯を注ぐことです。この動きを繰り返していると、ドリッパーの表面に泡が残ります。この泡は雑味の原因となりますので、抽出液の中にこの雑味が落ちないよう、次のお湯をタイミングよく注ぐことが重要なポイントです。
8.お湯を注ぐ(3回目)
2回目にお湯を注いだ際のやり方を意識して、3回目も注ぎます。最初にお湯を注ぐ位置を決めて、ドリッパーの中心に500円玉くらいの大きさの円をクルクルと描いていきましょう。
表面に泡がまんべんなく広がったらお湯を止めます。 中心が膨らんで少しずつくぼんできます。この動きが止まってしまう前に次のお湯を注ぎましょう。
今回は3人分のコーヒーをいれるので、3杯分(360ml)にコーヒー液が到達するまで、だいたい4~5回に分けてこの動作を繰り返します。
9. カップに注いでできあがり
人数分のコーヒーをいれ終わったら、タイマーを止めます。ドリッパーは、お湯が残っていても目盛りまでコーヒー抽出液が到達していたら、サーバーから外してください。
カップに注ぐ前のポイントとして、抽出してすぐのコーヒー液は上下で濃度が異なるので、サーバーを軽く回して均等にさせましょう。もしくはスプーンで軽く混ぜるのも良いです。
カップは温めるために入れておいたお湯を捨て、タオルなどで水気を拭き取りましょう。
最後にサーバーからカップにコーヒーを注いでできあがりです。
お湯を注ぐタイミングが合っていたか確認するには、抽出し終わったドリッパーの表面をチェックします。表面に泡が残っているのが見えたら、お湯を注ぐタイミングが適切だったといえます。
アイスコーヒーの抽出方法
アイスコーヒーの抽出方法も動画でご紹介します。
アイスコーヒーを抽出する際は、アイスコーヒー用のコーヒー豆・粉(深煎り・極深煎り)を準備します。お湯の注ぎ方はホットコーヒーの場合とほとんど一緒ですが、しっかりとした味を出すためによりゆっくりとこの動作をするのが大切です。
またいれた後に、たっぷりの氷を入れ冷やします。抽出後すぐに急冷することが、香りを封じ込め、透明度のあるコーヒーを楽しむためのポイントですので、素早く行いましょう。
【さらにおいしく】ドリップコーヒーをいれる5つのこだわりポイント・コツ
さらにおいしくドリップコーヒーを抽出するためのコツを5つご紹介します。
抽出時間にこだわる
コーヒーの抽出は2分30秒~3分で行うとバランスの取れた味わいを出すことができると言われています。
抽出時間が短いと、酸味が強く、軽い味わいのコーヒーに仕上がります。また、抽出後、温度が高いうちは香り立ちも良いですが、温度が下がってくるとコーヒーの味が感じられなくなります。これは「抽出不足」と言い、なんだか物足りない味わいになってしまいます。
抽出時間が長いと、好ましくない苦みが出てしまい、口当りが悪くなってしまいます。他にも苦みを強く感じる理由として、お湯を注ぐタイミングが合わなかったことが考えられます。
お湯の温度にこだわる
お湯は約90℃~95℃前後が適温と言われています。この温度を守ることで、酸味、苦み、香りがバランスよく溶け出します。適温にする温度計を使わない場合、ケトルを火元からおろし、お湯の表面がボコボコと踊るのを落ち着かせると約90℃~95℃のお湯を用意することができます。
ケトルやポットの注ぎ口からお湯が飛び跳ねてしまう場合は97℃を超えているので、コーヒーを抽出する際に余分な雑味やえぐ味が抽出されてしまいます。また、温度が低過ぎると香りが弱く、物足らない風味になってしまいます。抽出したいコーヒーの味わいに合わせて、お湯の温度を変えてみると味わいの幅が広がります。
▶関連記事:『コーヒーは温度で味が変わる?おいしく飲むための温度やいれ方を紹介!』
使用する水にこだわる
水には軟水と硬水があります。
日本で飲まれている水はほとんどが弱軟水です。日本の軟水は水分中の成分も少なく、コーヒー豆の中に浸透しやすく、成分が溶け出しやすいというメリットもあり、コーヒーそのものの味わいを楽しむことができるのです。
硬水にはミネラルやマグネシウムなどの成分が多く含まれているため、口当りとしては少々癖のある独特な味に感じられます。軟水とは違い、さまざまな成分を含んだ硬水はコーヒー豆の中に浸透しにくいため成分が溶け出しにくく、特に中煎りや普通煎りのコーヒーはしっかりとした味わいを感じられません。
また、浅煎りのコーヒーだとほとんど味がわからないコーヒーになってしまいます。その理由としては、コーヒー抽出時にミネラルやマグネシウムがコーヒーの通り道を塞いでしまうためだとされています。
硬水でコーヒーをいれたい場合には、深煎り豆を選ぶと比較的コーヒーの味わいが出ます。また、硬水を使用する場合、お湯を沸かした後はポットに水垢や湯垢が付きやすいので注意が必要です。
▶関連記事:『コーヒーのおいしさの秘訣は水選びにある?味の特徴やいれるコツ』
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ドリップコーヒーは、コーヒーと器具を揃えれば、どなたでも手軽にいれることができます。ドリップする際にはお湯の注ぎ方やタイミング、コーヒー粉の泡の出方などを観察することが大切です。
ドリップコーヒーは、コーヒー豆、ドリッパー、フィルター、注ぎ方等をお好みで組み合わせることができるので、あなただけのコーヒーができあがります。
試行錯誤することで、コーヒーを「いれる」プロセスも楽しめるはずです。ぜひ、自分だけの最高の1杯をドリップコーヒーでいれてみてください。