コーヒー豆の具体的な保存方法に悩んでいませんか?コーヒー豆はデリケートな食品です。保存方法の違いが味わいに直結してしまうことも。今回は具体的な保存方法や注意点、保存場所についても解説します。買いだめの目安としても参考にしてみてください。
Contents
コーヒー豆を保存する際に重要な4つの要素
以下を参考に、コーヒー豆を保存する際に重要な4つの要素を確認しましょう。
高温を避ける
高温下で保存していると、劣化のスピードが早まってしまいます。うまみ成分でもあるコーヒー豆の油分が表面から揮発してしまうため、高温下での保存は避けるようにしましょう。
多湿を避ける
コーヒー豆は水分に触れると、コーヒー豆内の成分が流出してしまいます。湿度の高い環境での保存も避けることをおすすめします。
酸素に触れないようにする
密閉した状態でコーヒー豆が保存できていないと、酸化が起こり香りが飛んだり、コーヒー豆に他の匂いが吸着したりしてしまうリスクがあります。酸素にできるだけ触れないように保存することが大切です。
光を避ける
光に当てることも、コーヒー豆の劣化を促しやすい要素の1つです。光によって熱が発生し、高温状態になるリスクもあるため、直射日光はもちろん、電灯も避けた方がよいでしょう。
コーヒー豆が劣化するとどうなる?
コーヒー豆が劣化すると、まず香りが弱まります。酸化して酸っぱい香りや酸化した味わいがが強調されたり、抽出した際の泡膨らみが鈍ったり、香りの立ち方が弱まったりすることもあります。
こうした4つの要素をできるだけ避けて保存するためのおすすめの方法について、以下で詳しく見ていきましょう。
コーヒー豆のおすすめの保存方法
コーヒー豆の保存方法としては、気密性があり、光を通さない素材の袋や容器を使い、高温多湿をさけた冷暗所で保管するのがおすすめです。
具体的には、以下の方法が挙げられます。
密閉できる専用のキャニスターへ入れて冷暗所で保存
高温多湿を避けられる冷暗所がある場合は、密閉できる専用のキャニスターへ入れて保存する方法もあります。キャニスター内へ乾燥材を入れて保管するのもおすすめです。
密閉性の高い容器に入れて冷蔵庫で保存
冷蔵庫は気候の影響を受けにくいですが、他の食材の匂いが移る可能性があるため、密閉性の高い容器へ入れて保存するのがおすすめです。光を通さない素材ならばなおよいでしょう。
フリーザーバッグへ入れて冷凍庫で保存
フリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存すると劣化しにくいですが、使用する際は常温に戻す必要があります。常温に戻す際は、冷凍庫から出して自然解凍をします。その際に温度差で結露する場合があるので、豆に水分が触れないように注意しなければなりません。
コーヒー豆を上手に保存する際のポイント
コーヒー豆を上手に保存する際のポイントをご紹介しましょう。
焙煎から時間が経過していないものを選ぶ
購入する前に、焙煎がいつなされたかもチェックしてみましょう。コーヒー豆は焙煎されたあとに急速に劣化していきます。焙煎してすぐもガスが多く発生しているため、2、3日おいてからの使用をおすすめします。
そのため、焙煎されてから日数が経過したものを購入してしまうと、その分保存が効かなくなってしまいます。
早めに飲み切れる量を目安に購入する
しっかり保存してもおいしく飲めるのは上記の保管状態で豆のままで1ヵ月ほどとなります。
こうしたコーヒー豆劣化による変化を表したのが上記のグラフです。2週間経過した段階でどの項目でも大幅に劣化していくことが伺えます。
極力買いだめは避け、新鮮な状態で飲み切れる量を購入するようにしましょう。
上記の保存方法が本当におすすめできる方法なのかについて、検証結果を見ながら確認してみましょう。
【検証してみた】コーヒー豆の保存方法「冷凍・保存缶・紙袋」の違い
上記で紹介したおすすめの保存方法に加えて、紙袋で保存した場合の3つの方法による保存結果を実際に検証してみました。冷凍保存と常温保存、容器の違いについて、実際の検証結果から詳しくみていきましょう。
*紙袋は、一般的にコーヒー豆を購入した際に豆を入れる紙製の袋です。
*今回の検証は独自の方法で結果を出しています。検証結果が全ての場面に当てはまるとは限りません。あくまで傾向を示しているに過ぎないということをご了承ください
検証方法
検証方法は以下の通りです。
[使用豆、豆の条件]
使用する焙煎深度は「浅煎り・中煎り」の中間ほど。錠前屋珈琲の焙煎士による焙煎直後の豆を保存
[検証期間]
1週間、2週間、4週間
[保存方法]
紙袋:直射日光の当たらない湿度の低い部屋で保存
保存缶(金属瓶/キャニスター):直射日光の当たらない湿度の低い部屋で保存
フリーザーバッグ:冷凍庫で密閉保存
[比較する観点]
焙煎を行って間もないコーヒー豆をそれぞれの容器に保存。合計3週間の間にどのように変化をしていくかを観測します。また焙煎後すぐの「味・フレーバー・膨らみ」を基準にして違いを比較していきます。
検証過程
1週間目:1週間たった段階ではほとんど違いは感じられず、どの保存方法でも比較的おいしくいただくことができました。
「味・膨らみ・フレーバー」はどの項目でも特に変化は見られません。膨らみ具合も申し分ありません。
2週間目:2週間目から徐々に変化があらわれました。冷凍パック以外の2つについては見た目でも、膨らみ具合に差が感じられるほどになっています。
4週間目:今まで安定していたフリーザーバッグにもついにかげりが。膨らみ具合が若干落ちていました。3週間を過ぎると保存缶は膨らみが鈍く、紙袋の場合はほとんど膨張しなくなってしまいます。
検証結果
コーヒー豆の保存方法による検証結果は以下のようになりました。
開封後 | 比較事項 | 常温 紙袋 | 常温 保存缶 | 冷凍 フリーザーバッグ |
1週間 | 膨らみ | 〇膨らむ | ◎よく膨らむ | ◎大変よく膨らむ※焙煎後の二酸化炭素が抜けきっていないため、ガスが出ている |
味 | 〇バランスよく、コクも感じられる | ◎バランスよく、甘い余韻とコクも感じられる | 〇やや軽い口当たり※焙煎後の二酸化炭素が抜けきっていないため | |
フレーバー | 〇感じられる | ◎香り高い | ◎大変香り高い | |
2週間 | 膨らみ | -1週目より減少 | ◎膨らむ | ◎大変よく膨らむ※焙煎後の二酸化炭素が抜けきっていないため、ガスが出ている |
味 | -味わい、コク共に軽いがマイナス面はない | ◎バランス良く、甘い余韻とコクも感じられる、やや口当たりが軽い | 〇やや口当たりが軽い※焙煎後の二酸化炭素が抜けきっていないため | |
フレーバー | △乏しいがマイナス面はない | 〇1週間前と比較するとやや減少 | ◎1週間前と変わらない | |
4週間 | 膨らみ | -膨らみ最少 | 〇膨らむ2週目よりやや劣る | ◎大変よく膨らむ |
味 | ×味わい、コクともになく不快な味わい | -味わい、コク共にないがマイナス面はない | ◎バランスよく、甘い余韻も感じられる | |
フレーバー | ×粉砕時から酸化臭あり | -感じるが2週目よりは劣る | ◎粉砕時の香り高いが、飲用時はやや減少される |
検証結果からわかる保存方法で注意したいポイント
この検証結果から注意したいポイントは以下の2点です。
・透過性の高い容器での保存は避ける
最も劣化が激しかったのが紙袋。その理由としては「紙袋自体の透過性が高い点」の条件と、「保存場所が常温であったこと」の2点が挙げられます。コーヒー豆の保存に重要である「酸化」と「温度」の条件を満たしていないため、結果として急速に劣化してしまいました。
もしコーヒー豆を中長期で保存したい場合、紙袋による保存は避けるのが無難です。
・おいしく飲みきるなら2週間
有力な保存方法であるフリーザーバッグでも、2週間以降は若干のかげりが。生鮮食品であるコーヒー豆はそもそも長期保存には適していません。また焙煎後には急速に劣化が進んでしまいます。
そのため、なるべく早く飲みきることを意識しコーヒー豆を購入しましょう。目安としては2週間分です。この期間であれば、コーヒー豆のおいしさをある程度は維持することができます。
また、保存する期間ごとに適した保管方法としては、以下のようになります。
・1週間以内の場合:1週間以内であれば、紙袋であってもそこまでの変化はありません。冷凍・冷蔵保存や、密閉容器へ保管するのに越したことはありませんが、紙袋による常温保存であっても、ある程度おいしさを保つことはできます。
・2週間以内の場合:たとえ常温であっても、キャニスターで保存しておけば2週間経過時点でもあまり変化はみられませんでした。そのため、1週間で飲みきれない量の場合、紙袋ではなく、しっかりとした保存容器に入れるのがおすすめです。
夏場や高温多湿の場所でなければ、常温保存であっても2週間程度はおいしさを保つことができます。
・2週間以上の場合:2週間以上コーヒー豆を保存しておきたい場合は冷凍保存するようにしましょう。ただし、冷凍保存でも1ヶ月以上ともなると、若干の劣化は避けられないもの。しかし常温保存では軒並み劣化が進んでしまいますので、1ヶ月前後の保存期間が想定される場合はフリーザーバッグに入れ、冷凍保存することを心がけましょう。
コーヒー豆を上手に保存しておいしさを楽しもう
悩ましい問題であるコーヒーの保存方法ですが、これを機会に理解を深めていただければ幸いです。コーヒーは香りが命。せっかくなら最後までしっかりとおいしく味わいたいものですよね。ただし、保存をしっかりと行っていてもおいしく飲める期間は1ヶ月程度と考えておくのが良いでしょう。今回の記事を参考に、きちんと保存を行ったうえで、早めにお召し上がりください。