コーヒーを好んで飲んでいると「エスプレッソコーヒー」という単語を耳にすることがあります。このエスプレッソコーヒーとはどのようなものなのでしょうか。発祥や楽しみ方、エスプレッソコーヒーを使ったバリエーションなども気になるところです。
ここでは、普段なかなか聞く機会のないエスプレッソコーヒーの概要に加え、楽しみ方や注意点、エスプレッソコーヒーを使ったドリンクメニューの種類などについて紹介しています。コーヒーやエスプレッソコーヒーの基礎知識としても参考となる内容になっています。
Contents
エスプレッソコーヒーとは
エスプレッソコーヒーとは、どのような飲み物なのでしょうか。エスプレッソコーヒーの概要について解説します。
イタリア発祥のコーヒー
エスプレッソコーヒーとは、イタリア発祥の加圧抽出いれたコーヒーの名称です。イタリアやフランスなどではもっともよく飲まれるコーヒーの1つで、イタリアで「エスプレッソ」といえばコーヒーのことを意味します。アルファベット表記は”Espresso”で、イタリア語で「急速な」「急行」「特別な」といった意味を持っています。エスプレッソコーヒーと呼ばれるようになった理由には、ドリップコーヒーよりも早く抽出できるから、または注文ごとに1杯ずついれる特別なコーヒーだから、など諸説あるようです。
エスプレッソコーヒーとドリップコーヒーの違い
エスプレッソコーヒーとドリップコーヒーでは、抽出方法が大きく異なります。ドリップコーヒーは、ドリッパーとフィルター、コーヒー粉をセットして熱湯を注いで抽出します。
一方、エスプレッソコーヒーは専用のマシンを使い、高い圧力をかけてコーヒー粉に熱湯を通して抽出します。
抽出方法だけでなく、コーヒー豆の挽き方や焙煎度合いもドリップコーヒーとは異なります。ドリップコーヒーとエスプレッソコーヒーの主な違いは以下の通りです。
[ドリップコーヒー]
- 挽き方:細か挽き~粗挽き
- 焙煎度合い:浅煎り、中煎り、深煎りなど
- コーヒー粉と水の割合:コーヒー粉10gに対して水120ml
- カップ:コーヒーカップ、マグカップなど
- 味わい:すっきりとしたものやコク、フルーティな酸味を感じるものなどさまざま
[エスプレッソコーヒー]
- 挽き方:極細挽き
- 焙煎度合い:中煎り~極深煎り
- 水とコーヒー粉の割合:コーヒー粉7~8gに対して水40ml程度
- カップ:専用のデミタスカップ
- 味わい:苦みが強く濃厚
このほかにも、エスプレッソコーヒーには表面に「クレマ」と呼ばれるクリーム状の泡が見られるのも特徴です。エスプレッソコーヒーは、表面のクレマとその下にある不透明なコーヒー液の2層に分かれています。
エスプレッソコーヒーとドリップコーヒーは、同じコーヒーとはいえ非なるものといえるでしょう。
エスプレッソコーヒーの楽しみ方
次に、エスプレッソコーヒーの楽しみ方について解説します。
エスプレッソコーヒーのいれ方
上記でも説明の通り、エスプレッソコーヒーの抽出には専用のマシンが必要です。マシンには電動のエスプレッソマシンのほか、直火式のモカポットなどがあります。手動の場合は専用のバスケットに深煎り、極細挽きのコーヒー粉を押し固め、高圧をかけて抽出するのが一般的です。コーヒー粉を金属のバスケット部分へ押し固める作業は「タンピング」と呼ばれ、エスプレッソの抽出に非常に重要で、技術が求められる作業です。
電動のエスプレッソマシンには、タンピングから抽出まで全自動で行うタイプや、抽出時間や圧力などを手動で微妙に調整できるセミオートタイプがあります。
ほかにもエスプレッソコーヒーが2杯同時に抽出できるタイプや、ラテアートなどに必要なフォームドミルク(またはスチームドミルク)を作れる機能が搭載されているものなどもあり、家庭用から業務用まで、大きさも価格もさまざまなものが市販されています。
エスプレッソコーヒーを楽しむ際の注意点
エスプレッソコーヒーを楽しむ際には、専用のマシンはもちろん、エスプレッソ用に焙煎、粉砕した専用のコーヒー粉が必要です。コーヒー粉の量に対して用意する水の量がドリップコーヒーよりも少ないため濃厚な味わいとなりますが、短時間で抽出するため、カフェイン自体はそれほど多く含まれていない点も誤解されやすい点の1つです。
ですが、 エスプレッソコーヒーはさまざまなバリエーションが楽しめるのも魅力となっておりますが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
エスプレッソコーヒーのバリエーション
エスプレッソコーヒーをベースにして作られるメニューには、以下のようなものが挙げられます。
エスプレッソコーヒーを使った飲み物
カフェラテやカフェマキアート、カフェモカなどの飲み物は、すべてエスプレッソコーヒーをベースにして作られます。エスプレッソコーヒーを使った代表的な飲み物は以下の通りです。
カフェラテ:エスプレッソコーヒーとスチームドミルクを2:8の割合で作る飲み物です。ドリップコーヒーと牛乳を1:1で割って作るカフェオレと似ていますが、カフェラテの方がミルクの比率が高く、エスプレッソコーヒー特有のミルクに負けない苦みとコクが感じられる点がカフェオレとは異なります。
なお、カフェラテの表面にキャラメルソースを振るとキャラメルマキアートになります。
カプチーノ:エスプレッソコーヒーとフォームドミルクを1:2の割合で注いで作る、ミルク感たっぷりの飲み物です。
スチームドミルクは泡が立たないように蒸気で温めたミルクのことで、フォームドミルクは専用のフォーマーを使い、蒸気の力でふわふわに泡立てたミルクのことです。
カフェマキアート:エスプレッソコーヒーとフォームドミルクを1:1.5の割合で作る飲み物です。ほんのりミルクを感じるエスプレッソコーヒーといった味わいとなります。
キャラメルマキアートやカフェマキアートの「マキアート(macchiato)」はイタリア語で「染みのある」という意味があり、キャラメルソースやミルクが染みのように表面に浮かんでいるようすを表しているとされています。
カフェモカ:エスプレッソコーヒーにフォームドミルクとチョコレートソースを浮かべて作る飲み物です。エスプレッソコーヒーとミルクの割合は3:7程度となり、エスプレッソコーヒー、フォームドミルク、チョコレートソースの順に合わせて完成となります。お好みで生クリームやココアパウダー、クラッシュナッツなどをトッピングするのもおすすめです。
スチームドミルクやフォームドミルクを使い、カップの表面にイラストを描く技術はラテアートと呼ばれ、エスプレッソコーヒーの抽出やラテアートの技術などを身につけている人は「バリスタ」と呼ばれます。
エスプレッソコーヒーを使ったスイーツ
エスプレッソコーヒーは飲み物だけでなく、スイーツにアレンジすることも可能です。エスプレッソコーヒーを使った代表的なスイーツは以下の通りです。
ティラミス:甘いリキュールや砂糖を加えたエスプレッソコーヒーを染み込ませたビスケットやスポンジケーキに、泡立てた卵黄と卵白を混ぜたマスカルポーネチーズを交互に重ね、表面にココアパウダーを振りかけたイタリアの有名なスイーツです。
上品なコクを感じるマスカルポーネチーズのふわふわで濃厚な触感と、エスプレッソコーヒーの苦みのハーモニーが特徴的で、特に日本で人気のあるスイーツとなっています。ティラミス(tiramisu)は「私を元気にして」といった意味のあるイタリア語です。
アフォガート:バニラアイスクリームにエスプレッソコーヒーをかけたデザートです。エスプレッソの味わいとバニラアイスのおいしさがシンプルに味わえる、気軽なスイーツとして人気があります。
アフォガート(affogato)は「溺れた」という意味のイタリア語で、エスプレッソコーヒーの代わりに紅茶やリキュールを使ったアフォガートなどもあります。自宅でも簡単に作れるため、エスプレッソコーヒー以外にも濃いめにいれたほうじ茶や抹茶、バルサミコ酢などをかけて、バニラアイスとのマリアージュを楽しんでみてはいかがでしょうか。
エスプレッソコーヒーを使った飲み物について、さらに詳しく知りたい方は以下もご覧ください。
関連記事:『カフェラテ、カプチーノ、マキアート、カフェモカ、カフェオレ、それぞれの違いとは?』
関連記事:『エスプレッソマシンなし!自宅でできるカフェラテの作り方9選』
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エスプレッソコーヒーは、通常のドリップコーヒーとは豆の焙煎や挽き方、抽出方法も異なります。専用のマシンで高圧をかけて抽出し、エスプレッソカップと呼ばれる小さなカップで楽しむイタリア生まれのコーヒーです。濃厚な苦みとコクが特徴で、ストレートで楽しむほか、カフェラテやマキアート、カプチーノなどもエスプレッソコーヒーをベースに作られます。
エスプレッソコーヒーに専用のいれ方や豆選びがあるように、自宅でいれるドリップコーヒーにもおいしくいれるコツがあります。
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