ベトナムはコーヒーの一大生産国として有名ですが、ベトナムで飲まれている「ベトナムコーヒー」についてはよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。ベトナムコーヒーとはどんなコーヒーなのか、味や特長などについても知っておきたいところです。
この記事では、ベトナムコーヒーの概要や特長、ベトナムコーヒーに使われている豆の特長などについてわかりやすく解説しています。ベトナムコーヒーの基本的ないれ方やアレンジレシピもご紹介していますので、ベトナムコーヒーについて知りたい際や自宅で作ってみたい時の参考としてお役立てください。
Contents
ベトナムコーヒーとは
ベトナムコーヒーとは、どのようなコーヒーなのでしょうか。概要と特長について解説します。
ベトナム発祥の練乳入りコーヒー
ベトナムコーヒーとは、ベトナムで主に飲まれている練乳を入れたコーヒーのことです。
国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、ベトナムはコーヒー豆生産量においてブラジルに次ぐ世界第2位となっており、ロブスタ種と呼ばれるコーヒー豆の生産では世界第1位を誇っています。ベトナムとブラジルだけで、世界全体の半分ほどのコーヒー豆を生産するほど、ベトナムは一大コーヒー生産国の1つなのです。
ベトナムコーヒーの特長
ベトナムコーヒーの特長は
- ・ロブスタ種の豆を使う
- ・独自のフィルターを使って濃く抽出
- ・コンデンスミルク(練乳)を入れる
の3つです。
ベトナムコーヒーに使われているロブスタ種というコーヒー豆は苦みが強いため、主にインスタントコーヒーや缶コーヒーなどの原料として使われています。一般的なドリップコーヒーやエスプレッソコーヒーに使用する豆はアラビカ種と呼ばれるコーヒー豆を使うのが一般的ですので、ベトナムが世界第2位のコーヒー生産国である割に、一般的な市場で流通しているところをあまり見かけないのはこのためです。
ベトナムでもアラビカ種の生産は行われていますが、ロブスタ種に比べるとごく少量に留まります。苦みの強いロブスタ種のコーヒーに甘いコンデンスミルクをいれて飲むベトナムコーヒーのスタイルは、ロブスタ種のコーヒー豆の特長を活かしたアレンジだといえるでしょう。
ベトナムコーヒーはどんな味?
ベトナムコーヒーは、苦みの強いロブスタ種のコーヒー豆を「カフェ・フィン」と呼ばれる金属製の独自フィルターで濃く抽出し、甘く濃厚なコンデンスミルクを加えて作ります。そのため、甘みが強くコクのある味わいが特長です。
全体的に濃厚で「喉を潤すドリンク」というよりも、デザートのようにちょっとずつ飲みながらお喋りを楽しむ、といったスタイルが主流となります。
コーヒーの下にコンデンスミルクが沈んで2層になっている状態で提供されるため、よくかき混ぜてから飲みます。お好みによっては敢えてしっかりと混ぜずに飲むことで、最初は苦みが強く、後半になるほど甘みを強く感じられるでしょう。
ベトナムコーヒーが広まった理由
ベトナムでコーヒー栽培が始まった当初はアラビカ種を導入していましたが、ベトナムの気候に合わず、うまく栽培を広めることができませんでした。その後、ベトナムがフランス領になった際にロブスタ種が持ち込まれました。ロブスタ種のコーヒー豆はベトナムの気候と相性がよかったことから、ベトナムでのコーヒー豆の栽培が広まっていったのです。
ベトナムではアラビカ種よりもロブスタ種の方が安価で手に入れやすい反面、ロブスタ種はブラックコーヒーとして楽しむには苦みが強すぎるため、ミルクを入れて飲むスタイルが主流となっていきます。当時のベトナムでは牛乳が手に入りにくかったため、代用品としてコンデンスミルクが使われるようになったのも、今日のベトナムコーヒーのスタイルを作った理由の1つといわれています。
ベトナムコーヒーのいれ方
ベトナムコーヒーの基本的ないれ方について解説します。ベトナムでは、お湯を注ぐだけで手軽にベトナムコーヒーが楽しめるインスタント製品も流通していますが、ここでは専用器具のカフェ・フィンと練乳、ロブスタ種のコーヒー豆を使って作る基本のいれ方と、専用器具やコーヒー豆がない場合の作り方について解説します。
ベトナムコーヒーの基本のいれ方
現地で作られるベトナムコーヒーは、専用のカフェ・フィンとロブスタ種のコーヒー豆が使われています。
[用意するもの]
- ・ベトナムコーヒー用のコーヒー粉 15~20g
- ・コンデンスミルク20~25g
- ・お湯 110~120ml
- ・ベトナムコーヒー用カフェ・フィン
- ・ドリップポット
- ・耐熱性グラス
[作り方]
- 1. カフェ・フィンの中ふたを外し、コーヒー粉をセットする
- 2. ふたを閉めてネジを締める
- 3. グラスにコンデンスミルクを注ぐ
- 4. ドリップポットでお湯を沸かす
- 5. グラスにカフェ・フィンをセットし、少量のお湯を注いで20秒ほど蒸らす
- 6. 残りのお湯を注いで抽出が終わったら出来上り
カフェ・フィンの中ふたは、閉め具合によっても抽出の濃さが変えられます。コーヒー粉やお湯の量は、使うベトナムコーヒー用の豆によっても異なる場合があるため、製品に記載の作り方も併せて確認するとよいでしょう。
耐熱グラスでないマグカップやコーヒーカップで作ることもできますが、2層に分かれたベトナムコーヒーを目でも楽しめる耐熱グラスを使うのがおすすめです。
自宅でも作れる!ベトナムコーヒーの作り方
「ベトナムコーヒーを作ってみたいけど、カフェ・フィンや専用のコーヒー豆を手に入れるのが難しい」という場合は、専用の豆や器具を使わずに自宅でできるベトナムコーヒーのレシピもご紹介しましょう。
[用意するもの]
・深煎り中挽きのコーヒー豆 12~15g
・コンデンスミルク20~25g
・お湯120ml
・ドリッパー
・フィルター
・ドリップポット
・耐熱グラス
[作り方]
- 1. グラスにコンデンスミルクを注ぐ
- 2. グラスにドリッパーとフィルター、コーヒーをセットする
- 3. お湯は細めに注ぎ、濃く抽出したら出来上り
コーヒーメーカーを使う場合は、濃いめに抽出されるよう設定し、抽出が終わったらグラスへコーヒーを注ぎます。
ベトナムコーヒーのアレンジレシピ
現地ベトナムでも親しまれている、ベトナムコーヒーのアレンジレシピもご紹介します。
ヨーグルトベトナムコーヒー
甘く濃厚なベトナムコーヒーを、ヨーグルトのほどよい酸味で中和した飲みやすさが魅力のアレンジレシピです。ベトナムでも人気のあるカフェメニューの1つとなっています。
[用意するもの]
- ・アイスコーヒー
- ・コンデンスミルク
- ・ヨーグルト
- ・耐熱グラス
[作り方]
- 1. ベトナムコーヒーを作る要領で濃いめに抽出したコーヒーを冷やし、アイスコーヒーにしておく
- 2. ヨーグルトにコンデンスミルクを加えて混ぜ、グラスに注ぐ
- 3. 上からアイスコーヒーを注いで出来上り
アイスコーヒーよりもヨーグルトの量を多くするのがポイントです。コンデンスミルクとヨーグルトの配分はお好みで、はちみつやシナモンなどを加えてもおいしく楽しめるでしょう。
エッグベトナムコーヒー
ハノイ発祥の卵を使って作るエッグベトナムコーヒーも、人気のアレンジレシピの1つです。まるでカスタードクリームを乗せたような味わいで、よりデザート感が高くなるのが特長です。
[用意するもの]
- ・ベトナムコーヒーの材料(コーヒー、コンデンスミルク)
- ・卵黄1個
- ・泡立て器またはハンドミキサー
- ・小さめのボウル
[作り方 ]
- 1.ベトナムコーヒーを作る要領で濃いめにコーヒーを抽出する
- 2.ボウルに卵黄とコンデンスミルクを入れる
- 3.泡立て器またはハンドミキサーを使い、ふんわりとした泡状になるまで混ぜる
- 5.抽出したコーヒーを小さじ1杯程度加え、更に泡立てる
- 6.グラスにコンデンスミルク、コーヒーの順に注ぎ、最後に泡立てた卵をふんわりと注ぐように乗せたら出来上り
卵を使って作るコーヒーは、ベトナムコーヒー以外にも種類があり、広く世界的に飲まれています。オーストラリアやヨーロッパでは、卵とラム酒を使って作るエッグノックコーヒーなどがあり、エッグベトナムコーヒーに似たクリーミーな味わいが特長です。
このほかにも、冷やしたベトナムコーヒーにアイスクリームを合わせたり、牛乳を注いでミルク感たっぷりのカフェオレにしたりなど、さまざまなアレンジレシピが楽しめます。上記を参考に、自分だけのオリジナルレシピに挑戦してみてください。
ベトナムコーヒーにぴったりのメニュー
ベトナムコーヒーと相性のよいメニューもご紹介します。バインミーと呼ばれるサンドイッチやフォーなどのベトナム料理とベトナムコーヒーを合わせれば、まるで現地を旅行しているような気分が味わえます。
ベトナム料理以外では、クッキーやビスケットなどのお菓子もおすすめです。甘く濃厚なベトナムコーヒーが主役になるように、素朴でシンプルなスイーツを合わせるとよいでしょう。
ココナッツやマンゴーなど南国のフルーツを使ったスイーツも、ベトナムコーヒーと相性がよいでしょう。
ベトナムコーヒーはちょっとずつ飲む濃厚なコーヒーなので、すっきり飲めるアイスコーヒーやノンシュガーのカフェオレなども用意しておくと、よりコーヒータイムが楽しめます。
ベトナムコーヒーでリラックスタイムを楽しもう
ベトナムコーヒーはベトナム発祥の練乳入りコーヒーで、ベトナムで生産されているロブスタ種の苦みを活かして作る、甘く濃い味わいが特長のデザートのようなコーヒーです。ベトナムコーヒーを作るにはロブスタ種のコーヒー豆とカフェ・フィンと呼ばれる専用の器具が必要ですが、深煎り中挽きのコーヒー豆を濃く抽出することでも、充分再現が可能です。ヨーグルトを入れたり、卵を泡立ててクリーミーなエッグコーヒーにしたりするなど、さまざまなアレンジ方法でも楽しめます。気が向いた日にはベトナムコーヒーを取り入れて、毎日の生活をリフレッシュしましょう。