2025.04.15
サステナビリティ
キーコーヒーの社員が気候変動の実態を調査
キーコーヒーでは2024年に、環境省から「令和6年度 気候変動に脆弱な小規模コーヒー生産者の明るい未来提案業務」を受託。アラビカ種コーヒーの原産国と言われるエチオピアで、気候変動の影響を調査しました。
キーコーヒーはこれまで、国際的なコーヒーの研究機関「World Coffee Research(WCR)」などのさまざまな機関・団体と協力しながらコーヒーの未来について何ができるかを考えてきました。
2024年には、環境省から「令和6年度 気候変動に脆弱な小規模コーヒー生産者の明るい未来提案業務」を受託。コーヒー生産に関するサステナブル活動を推進する専門部署「コーヒーの未来部」のスタッフがアラビカ種コーヒーの原産国と言われるエチオピアで、気候変動が小規模コーヒー生産者にどのような影響を与えているかの調査や、栽培等に関する提案をしました。
ここでは、「令和6年度 気候変動に脆弱な小規模コーヒー生産者の明るい未来提案業務」の主な実施内容と、現地を訪れた社員のインタビューを紹介します。
ここでは、「令和6年度 気候変動に脆弱な小規模コーヒー生産者の明るい未来提案業務」の主な実施内容と、現地を訪れた社員のインタビューを紹介します。
「令和6年度 気候変動に脆弱な小規模コーヒー生産者の明るい未来提案業務」とは
アラビカ種の原産国と言われるエチオピアで、気候変動が小規模コーヒー生産者にどのような影響を与えているか、キーコーヒーの社員が現地を訪問し、現地の農園の視察や小規模コーヒー生産者へインタビューを実施。
調査内容をまとめた資料「コミュニケーションプロダクト」の作成や、小規模コーヒー生産者や研究者向けに気候変動に適応するコーヒーの栽培や精選方法等を提案するセミナーを手がけました。
Topics1
コミュニケーションプロダクト
キーコーヒーの社員が現地を訪れ、気候変動が小規模コーヒー生産者にどのような影響を与えているのかをまとめた資料。日本語のほか、英語やエチオピアの公用語のひとつであるアムハラ語でも制作しており、さまざまなシーンで活用される予定です。
コミュニケーションプロダクト(日本語版)ダウンロードはこちら
Topics2
小規模コーヒー生産者・研究者向けセミナー
エチオピアでは収穫したコーヒーチェリーを果肉が付いたまま天日干しする精選方法が一般的ですが、気候変動による降雨サイクルの変化で、天日干しの期間中に雨が増えているのが最近の課題。手動の木製脱肉機(ハンドパルパー)を使い果肉を除去してから天日干しする方法や、収穫量の落ちたコーヒーの木を植え替える新植などを現地の小規模コーヒー生産者や研究者に提案しました。
ハンドパルパーの使い方は現地で実演を交えながら紹介。
「自分たちでも作ってみたい」と設計図の提供を求められるなど盛況でした
Interview
「アラビカ種コーヒーのふるさと」を訪れて
「令和6年度 気候変動に脆弱な小規模コーヒー生産者の明るい未来提案業務」では、「コーヒーの未来部」の社員が現地を複数回訪問しています。ここでは「コミュニケーションプロダクト」の制作を担当した有永さんと小規模コーヒー生産者・研究者向けセミナーを担当した藤井さんにインタビューします。
コーヒーの未来部
藤井 宏和/有永 直子
エチオピアにはコーヒーが文化として根付いている
――エチオピアを訪れた感想を教えてください。
藤井 私は当社の『トアルコ トラジャ』の産地であるインドネシア・トラジャ地方に赴任した経験があるのですが、一口に同じ『コーヒー農園』といっても、インドネシアと比べると規模や栽培方法に異なる点があって興味深かったです。
有永 農園の土の感触も良かったですね。粘土質だけれどフカフカとしていて柔らかい、コーヒーの栽培に適した良い土でした。コーヒーは農作物。その国の気候や風土に合わせたものが育ちますからね。
藤井 コーヒーが文化として根付いているのもよくわかりました。道端にプラスチックの椅子を置いただけのお店で出してくれるコーヒーが驚くほどおいしかったり、香草を入れる飲み方があったり。コーヒーの多様性、楽しみ方を教わった気がします。
藤井 私は当社の『トアルコ トラジャ』の産地であるインドネシア・トラジャ地方に赴任した経験があるのですが、一口に同じ『コーヒー農園』といっても、インドネシアと比べると規模や栽培方法に異なる点があって興味深かったです。
有永 農園の土の感触も良かったですね。粘土質だけれどフカフカとしていて柔らかい、コーヒーの栽培に適した良い土でした。コーヒーは農作物。その国の気候や風土に合わせたものが育ちますからね。
藤井 コーヒーが文化として根付いているのもよくわかりました。道端にプラスチックの椅子を置いただけのお店で出してくれるコーヒーが驚くほどおいしかったり、香草を入れる飲み方があったり。コーヒーの多様性、楽しみ方を教わった気がします。
有永 私は地元の人が利用する市場を訪れたのですが、麻袋に詰められた生豆があちこちで売られていました。生豆の品質が良いのはもちろん「○○産の豆」というように地域ごとに販売されていているのも興味深かったです。日本のスーパーで、お米を産地や銘柄で選ぶみたいですよね。
藤井 それだけ、エチオピアではコーヒーが身近な存在なんでしょうね。
藤井 それだけ、エチオピアではコーヒーが身近な存在なんでしょうね。
生産者の想いや歴史をつないでいく
――気候変動については、どのようなことを感じましたか。
有永 現地の方にインタビューすると、年々降雨サイクルが変化しているという声が数多く聞かれました。それに伴ってコーヒーの生産にも影響があるという切実な声は、現地を訪れたからこそ聞けた話だったと思います。
藤井 私がエチオピアを訪れたのは本来であれば乾季にあたる時期ですが、出張期間中は雨が多かったです。降雨サイクルが変わることでコーヒーの生育だけではなくその後の精選工程まで影響が及んでしまいます。
有永 降雨によるコーヒーの品質の低下や出荷時期のずれは、売上に直結するため小規模コーヒー生産者の方々にとって日々の生活に関わる大変な問題ですよね。
藤井 そういったことを、現地の研究者や関係各所の方々とお話ができたのは今回の調査の大きな収穫のひとつです。今まで私たちは日本でコーヒーを消費する立場でした。これからは、コーヒーを生産してくれる国の方々へ恩返しの意味も込めて一緒に気候変動への対応策を考えることが必要なのだと思います。
有永 エチオピアでは「コーヒーと暮らし」が密接に結び合っていました。コーヒーは単なる嗜好品という枠を超えて、大勢の人々にとって“なくてはならないもの”です。コーヒーの多様性を守りながら、文化や生産者の想い、歴史を次の世代にもしっかりとつないでいきたいですね。
有永 現地の方にインタビューすると、年々降雨サイクルが変化しているという声が数多く聞かれました。それに伴ってコーヒーの生産にも影響があるという切実な声は、現地を訪れたからこそ聞けた話だったと思います。
藤井 私がエチオピアを訪れたのは本来であれば乾季にあたる時期ですが、出張期間中は雨が多かったです。降雨サイクルが変わることでコーヒーの生育だけではなくその後の精選工程まで影響が及んでしまいます。
有永 降雨によるコーヒーの品質の低下や出荷時期のずれは、売上に直結するため小規模コーヒー生産者の方々にとって日々の生活に関わる大変な問題ですよね。
藤井 そういったことを、現地の研究者や関係各所の方々とお話ができたのは今回の調査の大きな収穫のひとつです。今まで私たちは日本でコーヒーを消費する立場でした。これからは、コーヒーを生産してくれる国の方々へ恩返しの意味も込めて一緒に気候変動への対応策を考えることが必要なのだと思います。
有永 エチオピアでは「コーヒーと暮らし」が密接に結び合っていました。コーヒーは単なる嗜好品という枠を超えて、大勢の人々にとって“なくてはならないもの”です。コーヒーの多様性を守りながら、文化や生産者の想い、歴史を次の世代にもしっかりとつないでいきたいですね。