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飲食店の業務効率化が重要な理由とは?業務改善のポイントやアイデアを紹介

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飲食店の経営において、業務効率化が重要とよく言われますが、なぜ重要なのかについてはよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。

今回は、飲食店で非効率な業務が生じる原因と非効率な状態を放置することのデメリットについて見ていくことで、業務効率化が重要な理由を確認していきます。

業務効率化を進める際のポイントについてもご紹介していますので、店舗経営改善の参考としてお役立てください。

飲食店で非効率な業務が生じる原因

飲食店で非効率な業務が生じる原因について見ていきましょう。

人手不足

帝国データバンクが2024年7月に行った調査によると、非正社員における人手不足の割合は、67.5%で、業界中トップとなっていました。

2022年7月の73%、2023年7月の83.5%と比較するとやや改善傾向ではあるものの、飲食業界においては慢性的な人手不足の状態が続いていることがわかります。

人手が足りないと必然的に業務に追われることとなり、接客に注文の聞き取り、片付けやレジ業務など、複数の業務を掛け持ちする必要もあるため、ひとつひとつの業務が非効率となりやすいのです。

▶ 参照:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)」

業務体制の不備

人手不足によって繁忙期のシフト調整が困難になると、労働環境も過酷になりがちです。マニュアルが共有されておらず、研修制度も整っていない場合、人員を確保してもうまく引継ぎができなくなってしまう可能性があります。

忙しい中で何をしてよいかわからない状況が続けば、人員が足りているにも関わらず業務が滞ることになってしまいます。また、頻繁に人員の入れ替わりが起きる原因にもなりやすいでしょう。

デジタル化の遅れ

業務の効率化や人手不足は、適切なデジタル化を行うことで大きく改善できる場合があります。注文にはモバイルオーダーを導入したり、セルフレジで多様な決済へ対応したり、データを集約して集計や顧客分析できるようにする、といった対策が取れていないと、それぞれの業務に多くの手間と時間がかかって業務が非効率となり、より多くの人手が必要となってしまうでしょう。

飲食店で非効率的な業務を続けることのデメリット

飲食店において非効率的な業務が改善されないことによるデメリットについても見ていきましょう。

集客減、クレームに繋がりやすい

飲食店で業務非効率化が常態化している場合の大きなデメリットとして、お客様のクレームや集客減に繋がりやすい点が挙げられます。

人手不足や業務体制の不備を放置していると「注文をなかなか聞きに来ない」「オーダーしても来るのが遅い」といったクレームが増え、集客減や売上減の原因になる可能性が高まってしまいます。

これまでは問題なく経営できていた店舗でも、インバウンド需要やメディアでの紹介などによって集客がアップした場合は注意が必要です。

従来の人員やシステムだけでは業務に対応しきれずにクレームが増えた結果、新規だけでなくリピーターや常連客まで失ってしまう可能性もあるでしょう。

人手不足に拍車がかかる

非効率な業務が多いことによって、顧客だけでなく従業員もストレスを感じやすくなってしまう点もデメリットの1つです。

勤務環境に問題があると人が辞めやすく、スタッフの入れ替わりが激しいとマニュアル共有も難しくなり、人手不足に拍車がかかるケースもあります。

人件費がかさむ原因に

人員配置や研修制度、DX化といった店内の労働環境整備ができていないと、非効率な業務が増えてしまいます。

結果として対応する人数や時間を増やさねばならず、本来1人でも対応できる業務が非効率であるために2人以上必要となり、無駄に人件費がかかってしまう場合もあるでしょう。

人件費を抑えて業務を効率化し、スムーズなサービスと業務改善を実現するには、どうすればよいのでしょうか、

飲食店の業務効率化を進める際のポイント

飲食店で業務効率化を進める際のポイントを紹介します。

業務改善で知っておきたい「ECRS」

業務改善を進める際には「ECRS」の4原則を活用して考えることが大切です。

ECRSとは、Eliminate(排除する)、Combine(結合する)、Rearrange(入れ替える)、Simplify(簡素化する)の頭文字を取ったもので「イクルス」と読みます。

業務改善を行う際はECRSの4原則にあてはめ、以下のように改善ポイントを見つけるようにします。

Eliminate(排除する、取り除く):不要な業務はないか、やめられる業務はないかを検討します。例として、オーダーが通ってからカットしていた食材を事前に下ごしらえする、下処理済みの食材を仕入れるなどが挙げられます。

ドリンクバーの設置やバイキング形式によるライス、サラダ、スープのセルフ取り分けを導入することで、調理や盛り付けにかかる手間を軽減することもできるでしょう。

Combine(結合する、組み合わせる):1つにまとめられる業務はないかを検討します。複数のサービスやソフトを使って管理していた業務を一本化する、一部の業務を外注と組み合わせて行う、といった施策が挙げられます。

Rearrange(入れ替える):順番や担当者の入れ替えは可能か、代替案はないかを検討します。

調理や開店、閉店時の業務の流れがスムーズになるよう入れ替えてみる、動線を見直して調理器具やテーブル、棚などの配置を入れ替えるなどが挙げられます。

Simplify(簡素化する):シンプルにできないか、少ない工程や時間で対応できないかを検討します。電卓を使っていた集計業務をパソコンでボタン1つで合計できるようにしたり、清掃や調理器具を新しく購入して業務にかかる時間を短縮する、業務の難易度を下げるといった改善が考えられるでしょう。

また、ECRSは次に紹介するデジタル化やDX化によっても実現しやすくなります。

デジタル化、DXを推進する

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、ITやデジタル技術の活用によって、生活や経済活動を改善していくといった意味を持っています。Transformationという表現は英語圏ではXと表記されることが多いため「DT」ではなく「DX」と呼ばれるのが一般的です。

飲食店においても、DXを推進することによって業務効率化が大きく進むケースが増えてきています。「ホール」「バックオフィス」「キッチン」のそれぞれに分けて、DXの推進による業務効率化の具体例を見ていきましょう。

・ホール

「注文を聞く」「伝票へ記入する」「キッチンへ注文を伝える」といった3つの工程は、セルフオーダーを導入することでお客様が注文選択と確定、送信までを行えるため、業務削減に役立ちます。セルフレジ機能やテーブル決済機能があれば、レジ対応の業務も減らすことができるでしょう。

また、大型チェーン店ではメニューをテーブルまで運ぶ給仕ロボットなどの導入も進みつつあります。

・バックオフィス

デジタル化して集約したデータをボタン1つでデータ化やグラフ化することができれば、業務の簡素化も実現します。レジ締めや日報報告、予約管理といったバックオフィス業務は研修に時間がかかることも多いため、操作の簡素化が進むことで「先任者がいないとできない」という事態の解消に繋がります。

・キッチン

キッチン業務を直接DXによって改善する方法として、調理ロボットやIT技術を使った最新の調理器具などの導入も挙げられますが、ホールやバックオフィスのDXを進めることで、間接的にキッチン業務も効率化することが可能となります。

例えば、ホールでのDX化によって注文が自動送信され、画面表示されるようになれば、聞き取りのミスや数量、味付けの作り間違いなどを防ぎやすくなります。

バックオフィス業務のDX化によって1日あたりや時間あたりの集客データがチェックできるようになると、食材の仕入れや下ごしらえする量の目安も把握しやすくなります。食材ロスや品切れを防ぐことで、キッチンにおける業務の効率化も進めることができるでしょう。

このように、飲食店でDXの導入が進めば、大きく業務効率化を推進することができます。初期費用が心配な場合は、コストを抑えてオーダー時の業務効率も実現できるモバイルオーダーなどから導入を検討してみてはいかがでしょうか。

業務効率化によるメリット

業務改善によって効率化が実現することは「顧客」「従業員」「経営者」のすべてにとってのメリットとなります。

顧客にとっては快適なサービスの提供が受けられるようになり、満足度の高い体験が得られるようになります。

従業員にとっては労働環境ややりがいが向上し、更なる細やかなサービス提供も可能となります。「ありがとう」「おいしかった」と声をかけられる機会が増えれば、居心地のよさや仕事に対する誇りにも繋がるでしょう。

経営者にとっては、経営や売上分析などのマネジメント業務の軽減に役立てることができ、人件費や各種コストの削減、従業員の定着率向上や集客、売上アップなどが期待できます。

▶ 関連記事:『ECサイトを活用した仕入れのメリットは?卸売業者との比較も解説!』

飲食店が抱える課題を解消して業務効率化を目指そう

飲食店において、業務の効率化は慢性的な人手不足の解消や顧客満足度の向上、集客率や回転率アップに繋がる重要なポイントです。業務を非効率な状態で放置することのデメリットを理解し、改善する際のポイントなども活用しながら、課題を解消して業務効率化を目指しましょう。

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