カフェ・喫茶店の開業、運営ノウハウを発信

カフェと喫茶店の違いは何?それぞれの定義や法的な区別も解説

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コーヒーが飲めるお店へ行きたくなった時、カフェと喫茶店のどちらを選ぶことが多いでしょうか。カフェと喫茶店はそもそもどのような違いがあるのか、何となくのイメージだけでなく、法律的な区別があるのかも知りたいところです。

ここでは、カフェと喫茶店の違いについて、イメージから法的な違いまでを解説しています。カフェや喫茶店におすすめのコンセプトも紹介していますので、カフェや喫茶店の開業を検討する際にも参考となる内容となっています。

カフェと喫茶店ではイメージに違いがある

カフェと喫茶店では、それぞれどのようなイメージの違いがあるでしょうか。それぞれの一般的なイメージとして、以下のような点が挙げられるでしょう。

カフェのイメージ

カフェと聞くと、10代後半から20~40代頃までの、比較的若い層をターゲットにした飲食店というイメージがあります。トレンドを意識したメニューやSNS映えする内装、ノートパソコンを開いて仕事のチェックをしながらコーヒーを楽しむ、といったイメージです。

喫茶店のイメージ

喫茶店と聞いた場合は、昭和レトロな雰囲気の漂う「純喫茶」的な空間を思い浮かべる人が多いでしょう。ブレンドコーヒーにミックスサンド、ナポリタンといった定番メニューが並び、重厚な木目のインテリアと落ち着いた空間で、中高年の常連客が本格的なコーヒーをゆったりとあじわう、といったイメージです。

多様化するカフェ、進化する喫茶店

近年では、ひとくちに「若者向けのカフェ」といってもコンセプトは多様化してきています。学生向けやビジネスマン向け、主婦向けなど、ターゲットによってお店の雰囲気やメニューは微妙にことなるでしょう。お店の滞在時間も、ゆっくりしたい人とサッとコーヒーが飲みたいだけの人とでは、利用するカフェが違うケースが多いのです。

喫茶店もまた、中高年向けの営業スタイルから進化しつつあります。レトロな雰囲気を好む若者向けにアレンジしたメニューを提供するなど、喫茶店を好む層の広がりに対応している店舗もあるようです。

カフェと喫茶店の法的な違いは?

カフェと喫茶店では一般的なイメージの違い以外に、法的な違いはあるのでしょうか。法改正前と後によってことなりますが、カフェと喫茶店は以下のような違いを挙げることができます。

営業許可の違い【2021年5月31日以前】

2021年6月に食品衛生法が改正されるまでは、カフェと喫茶店は営業許可証に違いがありました。法改正前、カフェは「飲食店営業許可」、喫茶店は「喫茶店営業許可」をそれぞれ申し、許可証の交付を受けていたのです。

飲食店営業と喫茶店営業における違いとしては

飲食店営業:調理方法の制限が少ない、アルコール販売が可能、営業許可取得のハードルは高め

喫茶店営業:加熱調理のみ許可、アルコール販売不可、営業許可取得のハードルが低め

といった点が挙げられます。

要約すると、喫茶店の営業許可証は飲食店の営業許可に比べると取得する際のハードルが低い代わりに、調理は加熱のみ許可されるため、温めるだけのトーストや軽食の提供となり、アルコールも販売できないという制限がありました。

一方で、カフェは通常の飲食店営業許可を申請するため、加熱以外の調理も可能となり、フードメニューを充実させることが可能です。アルコールの提供も深夜以外は可能となりますが、自由度が高いぶん、喫茶店よりも営業許可申請のハードルは高くなります。

繰り返しますが、2021年の法改正によって喫茶店の営業許可は廃止されたため、現在はこうしたカフェと喫茶店の法的な区別はなくなっています。

営業許可の違い【2021年6月1日以降】

2021年6月1日の食品衛生法改正を受け、喫茶店の営業許可は廃止され、飲食店営業許可に統合されることとなりました。そのため、現在ではカフェと喫茶店の法的な区別はなく、店名やイメージの違いのみで区別されています。

ただし、例外として2021年5月以前に喫茶店の営業許可を申請し、交付された喫茶店は、その営業許可証の期限が切れるまでは改正前の喫茶店として営業することが可能となっています。

なお、2021年6月の法改正による新たな飲食店営業許可証では、改正前の飲食店営業よりも販売可能なものが増えています。たとえば、改正前はカフェ店内でケーキの製造販売をしようとする場合、飲食店の営業許可とは別に菓子製造許可の取得も必要でしたが、改正後は飲食店の営業許可だけで、ケーキの調理販売が可能となっています。

上記で挙げている以外にも、申請時の条件や申請費用などが変更されている可能性もあります。詳しくは店舗を管轄する保健所へ問い合わせて確認してみましょう。

カフェ・喫茶店におすすめのコンセプトは?

上記のように、現在カフェと喫茶店では法的な差が特にないため、これから開業予定の場合は、コンセプトによってカフェか喫茶店かを決めることが可能です。

カフェと喫茶店のそれぞれについて、おすすめのコンセプトを以下にいくつかピックアップしてみましたので、イメージ作りの参考にしてください。

カフェにおすすめのコンセプト

カフェのコンセプトを決める場合、ターゲットを決めてから物件を探すとよいでしょう。学生向けなら、高校や大学、専門学校の近くにある物件や商業地の物件、主婦や子ども連れの家族向けなら郊外や住宅地、ビジネスマン向けならオフィス街や駅の近くなどがおすすめです。

学生向け:学生向けならクレープカフェやドーナツカフェなど、リーズナブルに提供できるアイテムに絞って営業する方法もあります。

家族向け:家族でゆったりと過ごせるカフェにする場合は、郊外で広めの間取りを取り、フードメニューを充実させるとよいでしょう。

ビジネスマン向け:オフィス街や駅から近い物件、路面店などは賃料が高くなるため、小さい間取りでも回転率の高いコーヒースタンドやテイクアウトに力を入れるといった方法もあります。

午前7時~9時台や正午前後など、混雑する時間帯がある場合、メニュー提供のスピードを早めたり、行列の誘導を行ったりする対処が必要となる場合もあるでしょう。

また、実店舗を持たず、キッチンカーなどでイベント開催地を回る移動販売や、既存のお店の定休日などを使って不定期に開店する「間借りカフェ」なども近年人気となっています。

「旅するカフェ」「週末カフェ」のようなコンセプトで、副業的に開業するのもよいでしょう。

移動販売や不定期営業をする場合は、営業時間や場所などの告知や周知が重要となります。SNSのフォロー割引や特典をつけるなどして、定期的に発信する情報をチェックしてもらうようにしておきましょう。

喫茶店におすすめのコンセプト

いわゆる「純喫茶」的なコンセプトの喫茶店を開業したいなら、間取りの小さな路面店を探すとよいでしょう。大きなカウンターのみか、3~6席程度のテーブルで、1人だけでも接客調理が可能な範囲にすることで、喧騒の少ないプライベートな空間づくりが可能です。

メニューはサンドイッチやナポリタン、カレーライス、プリンといった定番メニューに絞る代わりに、1つ1つのクオリティを高めるようにします。コーヒーをハンドドリップするのもおすすめ。時間はかかりますが、ゆったりとレトロな雰囲気が演出できる点がおすすめです。

インテリアは「昭和レトロ」「重厚感」などをテーマに選ぶとよいでしょう。濃いブラウンやワインレッドなどが基調となるため、中古品をリユースする場合は、清潔感が保たれるように注意したいところです。

若い世代向けに「昭和レトロ」のコンセプトカフェとして、純喫茶を開業するのもおすすめです。商業地や繁華街などの立地を選び、SNSなどで「明治・大正・昭和時代の雰囲気が楽しめる純喫茶」として宣伝することで、ターゲットとなる層の集客に繋がりやすいでしょう。

喫茶店でも飲食店営業許可を申請することとなるため、アルコール提供も可能となります。純喫茶風のコンセプトを活かすなら、ウイスキーベースのコーヒーカクテル「アイリッシュコーヒー」や、紅茶と角砂糖・ブランデーで作る「ティーロワイヤル」などをメニューに取り入れてみるのもおすすめです。

なお、飲食店の営業許可でアルコール提供可能な時間帯には制限があります。深夜のバー営業やアルコール提供を行いたい場合は、カフェと喫茶店いずれの場合も「深夜酒類提供飲食店」の営業許可が必要となるので注意しましょう。

それぞれの違いを活かして魅力的なカフェや喫茶店づくりを

カフェと喫茶店ではそれぞれイメージに違いがあり、カフェは若い世代向け、喫茶店は中高年向けで昭和以前のレトロ感あふれる純喫茶といったイメージを持たれるのが一般的です。

かつてカフェは飲食店営業、喫茶店は喫茶店営業としての許可申請に分けられており、法的にも区別されていましたが、2021年6月以降は喫茶店の営業許可が廃止されたため、いずれの開業においても飲食店の営業許可が必要となっています。

カフェと喫茶店のどちらを営業しても法的な制限や差はないため、自分のイメージやコンセプトに近いスタイルでお店づくりをするとよいでしょう。

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