カフェの経営に大事な経費、必要な経費と経費の種類を解説!
カフェを継続して経営していくためには、売り上げを伸ばすことだけが重要と思われがちです。しかし、実は売り上げよりも利益率が大切ということを把握しておきましょう。
そして利益率を計算するためには、経費がいくらかかっているのかを正確に知る必要があります。
経費にはさまざまな種類がありますが、ここではカフェの経営に必要な経費を詳しく解説します。
経費はかけなければ良いわけではありません。適正な経費の割合を知るためにも、売り上げに対する利益率を計算しつつ、かかる経費についてどのように考えていったら良いのかを知っておきましょう。
目次
カフェ経営に必要な経費
始めに、カフェを経営していくために必要になる主な経費を挙げていきます。
◆原材料費
「原価」ともいいます。メニューを提供するための材料を購入する費用です。飲食業では売り上げに対して30%が目安といわれていますが、カフェでは20%~25%くらいを目指すようにすると良いでしょう。
◆人件費
従業員に支払う給料のことです。従業員数に時給と勤務時間をかけて算出します。
ちなみに、従業員は雇わなければならないわけではありません。メニューがコーヒーメインでシンプル、かつ10席程度であれば、1人でも営業できるとされています。また、20席程度なら、夫婦で営業すれば手は足ります。
それ以上の席数になると人手が足りなくなったり、メニューが増えると専門のシェフが必要になったりと、従業員を雇う必要が出てくるでしょう。
◆家賃
店舗の家賃です。一般的にカフェの家賃は売り上げの10%程度までが目安といわれています。
一度、賃貸契約を結んでしまうと家賃の見直しは難しいため、開業する際は慎重に物件選びをしましょう。店のコンセプトや立地条件を熟考し、売り上げ見込み額を計算しておくことです。
◆水道光熱費
水道代、ガス代、電気代です。快適な店内の温度調節のためにエアコンを稼働する時間帯が長くなるのは仕方ないのですが、電源の切り忘れには気を付けましょう。また、カフェでは食器を洗う回数が多くなりますが、無駄に水を使い過ぎないよう注意が必要です。
水道光熱費は月の計算ではなく、年間で5%を目安としましょう。
◆通信費
電話代やWi-Fi代です。
最近はカフェ内でスマホやタブレットを使うお客様も多いため、通信環境が悪いのでは集客にも影響を与える可能性が高まります。また、仕事の合間に来店するお客様にとって、カフェにいる間、スマホが通じないのは致命的になってしまうかもしれません。
お得なプランで契約するといった工夫をし、カフェ内でもスムーズに通信できる環境を整えておくようにしましょう。
◆消耗品費
カフェを営業していて消耗するものの費用です。例えば、おしぼりやナプキン、トイレットペーパーなどが挙げられます。
まとめ買いすれば安くなるものもありますが、多く買い過ぎて保管する場所を取ってしまったり、使い切らずに廃棄したりするといったことが起こらないように注意が必要です。
◆衛生費
ゴミ処理代、マットやモップのリース代、害虫駆除代などです。自治体によってはゴミ収集の回数が少なく、自分で手配する必要があります。
飲食業であるカフェにとって清潔さを保つことは不可欠なため、十二分に気を配る必要があるでしょう。
◆販売促進費
宣伝費、チラシ作成代です。近隣の住人が顧客になる可能性が高いカフェでは、クーポン付きのチラシ配りやポスティングが有効になることもあります。
リピーターが増え、口コミを投稿してもらえるようになることが集客に繋がる可能性が高いため、顧客の満足度が高いカフェ経営を心がけましょう。
経費を計算するFLコストとは?
カフェ営業の際にかかる経費にはさまざまなものがありますが、種類を知るだけではなく、それをどう分析していったら良いのかが大切です。
カフェの経営が行き詰まる理由として「思った以上に経費がかかってしまった」というものが多く挙げられているそうです。そのため、売り上げに対する経費の割合をきちんと理解しておくことが重要となります。
経費を計算する際に「FLコスト」が出てくることがありますが、これはどのような意味なのでしょうか。また、どう計算すれば良いのか、詳しく見ていきましょう。
◆FLコストとは
飲食業界には「FLコスト」という言葉があります。Fは「food」で原材料費(原価)、Lは「labor」で人件費です。飲食店の経営にはさまざまな経費がかかりますが、このFLコストを把握することが特に重要とされています。
また、店舗の家賃「Rent」を入れて、FLRコストといわれることもあります。カフェ経営では、原材料費、人件費、家賃といった経費をしっかり管理することが欠かせません。
◆適正な数値は?
適正なFLコストは、原材料費:売り上げの30%以内(カフェでは25%~28%を目指すと良い)、人件費:売り上げの30%以内、FL比率は60%以内が理想とされているので、これを目安としましょう。
また、飲食業では、FLコストに家賃を入れ、売り上げに対して「3-3-1」という考え方があります。2つの3が原材料費と人件費、1が家賃です。よって、原材料費と人件費が売り上げの30%以内、家賃が10%以内に収まっていることが、スムーズな経営に繋がるといわれています。
経費から利益を計算
では、実際に経費から利益をシミュレーションしてみましょう。
◆試しに深く考えずに計算してみる
まず、経費の比率を考えずにカフェ経営をした場合の利益を出してみましょう。
家賃が10万円の物件を契約したとして、1日の来店客数を20名とします。客単価の平均を1,000円とすると、1日の売り上げは2万円です。
ひと月25日営業で、月商が50万円。この時点で、家賃の目安は売り上げの10%を目指すべきなのに、大きく上回ってしまっています。
従業員は1人、時給1,100円で7時間勤務だとすると、1日で7,700円。25日営業で、ひと月の人件費は19万2,500円です。
原材料費は1,000円の客単価に対して300円だとして、20名×300円×25日で、ひと月15万円。月商から、これらの経費(家賃:10万円、人件費:19万2,500円、原材料費:15万円)を差し引くと、ひと月の利益額は5万7,500円となります。
この利益額から、自分の稼ぎも考えなくてはならず、しかも経費はこれだけではなく、ほかにも水道光熱費や通信費などがあります。
深く考えずにカフェ経営をしてしまうと、早々に行き詰まってしまうことが、この結果からわかるでしょう。
◆比率を考えながら計算しなおす
カフェの経営が行き詰まる理由として、「収支計画や採算管理が甘かった」というものがあります。そのため、しっかりと経費、売り上げ、利益を把握しておくことが欠かせないといえるでしょう。
経費の比率を考慮しながら、売り上げや利益を計算してみます。
まず、経費から必要な売り上げを計算します。また、逆に売り上げから経費を計算することもしましょう。かかっている経費に対して売り上げが足りないなら、経費を見直すことも必要になります。
仮に、家賃:10万円とすると、売り上げは100万円必要になります。原材料費と人件費が売り上げの30%の30万円、これらを売り上げから差し引くと、下記のようになります。
100万円(売り上げ)-30万円(原材料費)-30万円(人件費)-10万円(家賃)=30万円(利益)
大まかにはなりますが、家賃が10万円の物件でカフェを経営するのなら、売り上げは100万円、かかる経費を上記の金額内に納める必要があります。
経費削減の考え方は?
カフェ開業のときには、売り上げ見込み額やかかる経費をしっかりと考える必要がありますが、始めてみたら売り上げが思ったようには伸びなかったということもあるでしょう。
利益率を上げるには、売り上げを伸ばすことのほかに、経費を減らす方法があります。ここでは経費を削減する考え方について見ていきましょう。
◆原材料費の見直し方
原材料費は売り上げの30%が目安ですが、全てのメニューの原材料費を30%に抑えることはありません。
メニューのなかには原材料費が高いものがあっても良いでしょう。しかし、単品の注文では赤字となってしまうため、原材料費が低いメニューとセットにする方法があります。トータルで30%以内に納めることを心がけましょう。
また、材料は買い過ぎないことがポイントです。カフェ経営にとって、メニューが売り切れることよりも、材料が余ることのほうが痛手になるからです。
売り切れ後に注文が入ったら、次回使えるサービス券を渡したり、別のメニューを勧めたりすると、リピートしてもらえることに繋がるかもしれません。
◆水道光熱費
カフェは食器の洗い物が出るので、水道代が高くなりがちです。水の出しっぱなしに気を付け、なるべく節約するように心がけましょう。食洗器がない場合は、水の無駄遣いしないよう、特に注意が必要です。
またカフェの営業には、店内の温度調節が欠かせません。そのため、エアコンの使い方はマニュアル化しておくと良いでしょう。例えば、回転の何分前に電源を入れる、閉店後のどのタイミングで電源をオフにするかなどです。習慣にすることで、電源の切り忘れも防止できるでしょう。
◆量目管理
「量目」とは、秤で計測する量のこと。つまり、量目管理とは商品を提供するときの量の管理です。
良く出るメニューを提供する際に、スタッフによって量が違っているということは防がなくてはなりません。多く出し過ぎてしまえば原材料費を圧迫し、少な過ぎればお客様の不満に繋がってしまいます。
そのため、定期的に商品を提供する量を確認することが必要となるでしょう。
◆人件費は最後に見直す
経費を見直すとなったときに、まず人件費削減を考えるケースがありますが、人件費の見直しは最後にしたほうが良いでしょう。
なぜなら、人件費削減が従業員のモチベーションを下げ、サービスに影響が出てしまえば顧客満足度を下げてしまう可能性があるからです。そして結果的に、カフェ経営がうまく回らなくなることがあるでしょう。
仕事に慣れた従業員が不満に思い辞めてしまえば、新たな人材を募集することになります。募集の手間や経費、新しい従業員に仕事を教えることを考えると、従業員が辞めない職場づくりをすることのほうが良策といえるでしょう。
経費を把握してスムーズなカフェ経営を
カフェを経営するためには、知っておきたいさまざまな経費があります。
また、経費の種類を把握するだけではなく、売り上げに対してかかっている経費が適正であるかを管理しなくてはなりません。
正確な経費を把握することで、利益率を計算することもできます。かかっている経費から目指すべき売り上げも算出できますが、売上額が届かない場合には経費を見直す必要が出てくるでしょう。
経費はやみくもに減らせば良いというものではありません。経費の見直し方を工夫し、スムーズなカフェ経営を目指しましょう。
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